がんばれコンサルタント! 第245話:コンサルタントが知っておくべき、ビジネスで信用を築く根本原理

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「ゴトウさん、これからコンサルタント起業していくときに、信用をつけていくことが大切だと思うのですが、何か押さえておくべきこととかありますか?」── 長年勤められてきた会社を卒業し、これから一人立ちしてスタートするために、ご相談にお越しになられた方からのご質問です。

商売には、さまざまな能力やノウハウ…といったことはもちろん重要ですが、大前提として、信用があってはじめて…ということは、余りにも当然のこと。簡単な話、「あの人は信用できない」と思われたら、これはもう、技術だの知識だの、見た目や格好がいい…といったことも、まったく意味がなくなってしまいます。

ですから、「信用をつける」ということは、極めて重要なことに違いありません。問題は、この「信用をつける」ということに対して、特に起業初期の人に、「勘違いしているケースが多い」という点です。

なぜ勘違いしてしまうのか…。理由は単純です。信用というものの基点を理解していないからに他なりません。もっと分かりやすく言えば、「個人としての信用と、会社としての信用を混同していたり、順番を間違えている」ということです。

例えばあなたが、「この仕事を頼むよ」と、発注したとします。普通に仕事の発注ですから特に気にもしないかもしれません。

仕事を発注しているのだから、「やってもらうのが当たり前」だと思っているかもしれませんし、中には「仕事を頼んであげた」くらいに思う人もいるかもしれません。発注でなくても、「何かの申し込み」「購入」といったものでも基本的に一緒です。

問題は、これが一消費者として何かを購入しているのなら、普通の応対を期待して問題ありませんが、「ビジネスとして」となると、まったく違った現実があることを、よくよく覚えていなければなりません。

それは、「起業したての会社には、信用などまったく無い」という現実です。何を言っているんだ? という人もいるかもしれません。しかし、これが世の中の真実であり、ビジネスでは余りにも当然のことなのです。

そもそも、ビジネスにおいては、「会社としての信用があった上で、個人の信用が活かされる」ことが大原則です。この原理原則が分かっていないと、ことごとく自ら信用を失っていく愚行を繰り返すことになります。

この手の話をすると、「そんなことはない、自分は長年マジメに仕事をしてきて、取引先からも“○○さんだから仕事をしている”とよく言われる」とか、「自分は信用第一を心がけてきたから、起業しても大丈夫のハズ」…といった事を言われる人がいます。

もちろん、気持ちとしては分からない訳ではないのですが、現実を分かっていないと言わざるを得ません。「あなたがその仕事をしていたのは、どの会社の名刺でしたか?」ということです。

■■社の○○さんだから、取引先も信用している…という大前提があるのです。ビジネスにおける取引や契約、発注といったあらゆる行為は、「会社としての信用」がない限り、何一つ行われない…ということは余りにも当然のことなのです。

実際、銀行口座一つつくるのでさえ、法人のクレジットカードつくるのでさえ、「会社としての信用基準」を満たさない限り、「審査しましたが…」であえなく落とされるだけです。

電話一本で大きな単位で発注できたことも、仕事でご馳走になっていたことも、急な依頼にも対応してもらえていたことも、もっと言えば仕事仲間でのゴルフや、打ち合わせで来社してもらっていたことも…、すべて会社に信用があったからこそ、成立していたことです。

では、ビジネスにおける信用の基点とは何か。ズバリ「お金の支払い」です。会社としての支払い能力や実績があるからこそ、取引が行われるのであり、その上に、担当者としての人間性が活かされているのが現実です。

この、大原則を理解せずに、「ビジネスとはこういうもの」といった、会社生活で慣れ親しんできたことを、なんとなくやったり、他の企業がやっていることをマネしたりするとどうなるか…。

先に申し上げたとおり、「起業したての会社には信用は無い」という状態にもかかわらず、さも「ツケ払い」が当然がごとくの発注など、信用があった上で行われている行為を行おうとすると、相手の会社はあなたの会社を嫌ったり、避けたりするようになります。当然、信用は積みあがらないどころか、むしろ悪化していったりします。

起業初期の立場で考えるとき、もしクライアントや取引先から、「支払いは20日締めの翌々月末払い」などと言われると、「え~、そんなに先? 本当に払ってもらえるの?」と思ったりするものです。相手が信頼のおける大企業や公的機関ならともかく、もし、昨年創業した個人経営の会社であれば、あなたはどう思うか? ということです。

資金繰りの上手さとか、仕入れの巧みさ、人使いの上手さや、発注や購入の賢さ…といったことを盛んに考える人がいます。確かにそれはそれで素晴らしいノウハウには違いないかもしれませんが、これらはあくまでも、「信用がある企業にだけ許されている」ということを、知っていなければなりません。

翻って、「信用がない会社」が、コツコツとなけなしの信用を積み上げていくには、一体どうすればいいのか…。

「請求書を送ればスグに払ってくれる」、「発注と同時に入金してくれる」、「大きな発注の時には前金で払ってくれる」、「ドタキャンなど絶対にしない」、「些細なことでもキチンと費用をはらってくれる」…といった、誰でも「ちゃんとおカネを払ってくれる」会社とは、安心して付き合ってっくれるということです。

逆に言えば、この反対をすれば確実に嫌われていく…ということです。小賢しい入れ知恵なのか、大手企業のマネのつもりか、細かいことを言っておカネの支払を遅らせたり、20日締めの翌々月末払い…などと、創業まもない個人経営の会社が行えば、「お金が苦しいんでしょ?」と、金払いの悪さの上に信用不安まで流布されるかもしれません。

一方で、「いつも前金で払ってくれているので、いいところを優先して廻しますよ」、「御社はしっかりしているので、多少時間が延びても大丈夫ですよ」、「いつも入金が早いので、安くしておきますよ」…、損して得するではないですが、コツコツ積み上げていく信用による効果は、結果的に大きなものになり、強い味方をつくっていくことになります。

一消費者のような感覚で、「振込みを忘れていた」とか「理由なくキャンセルする」…といったことを、気楽に行ったり権利として振りかざす人がいたりしますが、彼らの商売が繁盛しているという話は聞いたことがありません。

信用に対する根本原理が分かっていない上に、知識や技術、ノウハウ…以前に、経営者としての人間性に問題があるからです。

もし人間性に問題がある人が、経営指導を行おうと思っているとしたら…。一つだけハッキリ言えることは、「まともな経営者は、そんな二流の人に指導依頼することはない」ということです。

あなたは、自分のビジネスの信用を、コツコツ積み上げていっていますか?

 

著:五藤万晶

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