がんばれコンサルタント! 第261話:伸びる会社をクライアントとして獲得するための秘訣
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「ゴトウさん、クライアントを選ぶときの基準なんていうものはありますか?」── 先般セミナー会場にて、立ち話的にいただいたご質問の一つです。
「どうすればクライアントを獲得できますか?」といった質問も、よくいただくことがありますが、今回のご質問はもう少し進んだといいますか、よりよいコンサルティングビジネスを展開していくために、「良質なお客様」をどう獲得していけばいいのか…といったところでしょうか。
よく、「顧客を選べ!」といった言葉を耳にしたりしますが、これ実際に行おうとすると、実にハードルが高いことに気づかされることになります。理由は実に単純です。そのままストレートに行おうとすると、「来てくれたお客さんを、どうやって断るのか」という、超難題に直面するからです。
セミナー登壇だけが仕事という人なら、直接的なコンサルティングのご依頼もありませんから、まあ気楽に「断ればいい」といったアドバイスができるかもしれません。
しかし、実務ベースでコンサルティングを行っている人からすれば、目の前に来られたお客様に対して、「帰ってくれ!」とばかりに断るというのは、これは並大抵の心臓ではとてもとても…というのが現実です。
そもそも、「断れば売上が減る」ことになります。当たり前のことですが、売上が減ると分かっていることを平気でできるかと言えば、大半の人にとって「だから悩ましい…」というのが嘘偽らざる心情ではないでしょうか…。
そう、「顧客を選びたいけれど、断れば売上が落ちるし、だから悩んでいる…」というのが多くの人に共通することだったりする訳です。
答えとしては「顧客を選ぶ」しかないのですが、それを実際にどうやるのか…という実務に関して、まともに答えてくれる人がほとんどいないのが現状です。でも、実はまっとうな方法が一つあります。それは、儲かっていて、伸びる会社をクライアントとして獲得すればいい…ということです。
この話をすると、たいていの人が、「??? そういう会社にするためにコンサルタントがいるのでは?」と、キョトンとした顔をされたりします。要は、逆ではないか? と…。
経営者もコンサルタントも、主婦も学生もサラリーマンも、当然ですが皆さん「人」です。人である以上、好き嫌いの感情があり、この感情によって判断や取捨選択を行っています。
この好き嫌いの感情は強烈で、いかに合理性で判断しているように思っていても、直感的な「好き」「嫌い」で結局は決めている…ということは、世の中の驚くべき比率なのが現実です。嘘のような本当の話です。
試しにスーパーで買い物している人に、「なぜこのお店で買っているんですか?」と尋ねてみれば、「安いから」とその時は答えるかもしれません。でも、全部の値段を調べて買っている訳でもなければ、近くのライバル店と毎回比較して買い分けている人は、居たとしても実に少数派です。
現実に多いのは、「なんとなくいいから…」「他のところよりも良いから」といった曖昧で感覚的なものだったりします。要は好きかどうかはともかく、嫌いではないし、まあ気に入っているから…といった感覚です。
スーパーの場合、量を追うビジネスだけに、広く大衆に好かれる必要があるので、嫌われないということは非常に重要です。強烈に好きという人を対象にしてしまうと、9割の人にそっぽを向かれてしまうので、大量販売はできず、お店としてはやっていけなくなってしまうからです。
一方で、高級系の商売の場合、9割に好かれる必要はまったくありません。1割、もっと言えば5パーセントの人に好かれれば商売としてまったくOKです。高くて利益率が良いだけに、「感性が合う」「考えが好き」という強烈な5パーセントの顧客からの支持があれば、十分にやっていける訳です。
当然ながら、より尖って利幅も利益率も良い商売であれば、さらに少数の顧客層でもやっていけます。超高級ブランドや超高級車、超高級別荘、プライベートジェット、プライベートバンク…といった商品・サービスなどは、1パーセントにも満たない人を対象に用意され、提供されていたりします。
当たり前ですが、「広くあまねく…」などといった思考など、そこにはありません。自分たちの提供する商品・サービスを好む層の思考を熟知し、その方々に合ったやり方を日夜考えながら進めていくということをしています。それが彼らのビジネスだからです。
翻って、売上利益を増やして伸びる会社…とは、一体どういう思考の経営者なのか。「あなたは自分の顧客を知らずに商売しているのですか?」と、よくクライアントに偉そうに説教している人がいたりしますが、そういう人に限って、自分が選ぶべきクライアントのことも知らずに、コンサルタント業を行うとしていたりする訳です。
一つだけ言えることは、伸びる会社、儲かる会社とは、きわめて挑戦的であり、「可能性に賭ける」思考がしっかりある、ということです。
逆に言えば、「こちらのほうが安全」だとか、「リスクを避ける」「他社もやっているから安全」「業界的にこうだから」「このほうが経費を下げられる」「このやり方のほうが安定する」…といった思考は、停滞する会社には好まれるかもしれませんが、元気で勢いのよい会社には、まず無い思考だということです。
嘘か本当か真実のほどは知りませんが、ロボット掃除機を日本の家電メーカーが開発しようとした時、「もし、掃除機が無人で動いていて、仏壇に接触して立ててあるロウソクが倒れて火事にでもなったら…」と、開発にストップがかかっていたとか…。
一事が万事で、日本のお家芸だった家電市場に対して、海外メーカーが「可能性に賭けて勝負」してきたのとはまったく対照的です。小さな家電メーカーが新市場をいくつも開拓し、日本企業はあわてて「後追い」を行っていますが、まさに思考の差を歴然と物語っていると言わざるを得ません。
コンサルティングをビジネスとして行う上で、自らが持つべき「思考」というのは、きわめて重要です。いかなる技術やノウハウも、自分の思考の上でしか使うことができないからです。この根本の方向性を、もし間違った方角に向けていたらどうなるのか…。
当社は、多くの方々にご利用いただいていますが、一貫してお伝えしていることに、「中小企業の社長が一体何を望んでいるのか?」このことと、自らが展開することのベクトルが合わなければ、自分のビジネスの発展も繁盛もない、ということです。
単純な話、あなたがコスト思考でリスクを避ける思考、そして挑戦をしない人であれば、どんなクライアントが寄ってくるか…ということです。
あなたは、可能性に賭ける思考、そして行動をしていますか?
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