がんばれコンサルタント! 第334話:コンサルタントが覚えておくべき、判断を迷ったときの基本軸

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「ゴトウさん、先方のクライアントさんが、事業改革に一度は決断されたのですが、何か抵抗があるらしくちょっと待ってほしいと言ってきまして…」── 先日、コンサルタント仲間と一杯やっていた時に出てきた、少しシビアな話です。

何でも、会社を伺ってみると様々なところに問題を抱えていて、そのことをお伝えして業務改革を実施していくことが決まったそうですが、よくあるパターンの「幹部社員の抵抗」によって、ちょっと止まりかけている…というもの。

長年そこでがんばっている人からすれば、突然現れた外部の人が急にアレコレ…と感じる訳ですから、抵抗があるのもある意味当然かもしれません。人は誰でも、誇りやプライドを持っているのですから、それの現れ…とも言えるでしょう。

ただし、では仕方がない…とか、それを肯定するか…と言われれば、そんな馬鹿げたこと、考えるまでもないという話です。

世の中実に単純です。判断を迷ったとき、重要なことは、「放っておいてよくなることは絶対にない」ということです。もっとハッキリ言えることは、「時間が経てば確実に悪化する」ということです。

この簡単な原理原則をどう伝えるか…。もしこうした人が人を束ねる役目や、組織の長、指導する人…にいれば、一体どうなるか…ということです。

何もせずに何かが動くことは、物理の法則からしてもあり得ないことです。力が加わらなければ絶対に物は動きません。何もしないことを戦略的に…という人がたまにいますが、間違いなく言えることは、「恰好をつけている」か「無策をバレないようにしている」だけのどちらかです。

「戦略的な不動」とは、何もしないこととはまるで違うことであり、極めて重要なモノを不動にするために、様々な手を尽くして「動かないようにする」ことです。無策とはまったく違うことを知らなければなりません。

そもそも世の中は日々、確実に進化しています。この状況下で「放っておく」ことがどういうことになるか…であり、もっといえば「がんばれば…という、単なる言葉遊び」で過ごそうとすれば、結果として世の中から脱落することは、火を見るより明らかなことです。

簡単な話、「世の中のスピードに遅れた」から業績が芳しくない訳ですし、個人事業でもサーフィンがごとく、「世の中のスピードに勝っていなければ、波乗りは不可能」ということです。

この世から消えた企業は、例外なく「打ち手や行動の不足」が起因であり、それらが世の中からの遅れをつくり業績の悪化につながっているのです。

遅れた原因は、間違いなく「内部」にあります。いつものように、いつものことを、いつもどおりにやってきた結果です。その遅いスピードをつくりだしてきた人たちが、劇的なスピードアップが起こせるかどうか…と言えば、ほとんどあり得ないということです。

これはどんなに大きな会社でも、一人ビジネスのような小さな会社でも、なんら変わりはありません。時間をかけて「じっくり」とか「時間が解決」といったことは、永遠にありえなく、すべては自分側、内部側の要因によって遅れが生じます。

外部を利用する最大の価値は、まさにここにあります。短期間に劇的な作用を与え、用が終わればいなくなるからこそ、何の躊躇もなくインパクトを与えることができ、そして自らも大ナタを振るうことができるのです。

コンサルタント自身も、このことを腹で分かっていなければ、経営者を突き動かすことは難しくなりますし、自身もクライアントにおもねる状態になっていきかねません。

スピードアップのための作用力は、すさまじいほど大きくなければ速度は変わりません。そもそもビジネスステージの底上げは、内部にいてそこに従事いる人には基本的に不可能なのです。自分のことは、自分が一番分からない…というのと同じです。

列車の中の人には、走っているレールのチェンジや異次元の速度アップなど、不可能なのと一緒です。外部の力をどれだけ上手に使えるか…こそ、我々には重要なテーマなのです。

そういう意味では、誇りやプライド…というのは、「良くする」という現実に対して発揮すべきものであり、「外部から言われたくない…」とか、「とにかく自分で全部やる」、「他人に教わりたくない」…といった考えは、これこそ二流のプライドと言わざるを得ないものでしょう。

アスリートでも経営者でも、一流は総じて多くの師をもっているのは、まさに「何が重要か」に確実に焦点を定めていて、そこに向かうために全力を尽くしているからです。

コンサルタントとは、こうした原理原則を理解したうえで、経営者と対峙し、理解してもらい、そして真の事業成長を促す必要があります。

あなたは、クライアントに覚悟を迫れていますか? あなた自身も本物のプライドで進んで行こうとしていますか?

 

著:五藤万晶

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