がんばれコンサルタント! 第201話:コンサルタントが知っておくべき、失敗と成功の関係性について

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二流は過ちを隠す。一流は過ちを活かす。

 

「ゴトウさん、私は犯罪を犯していまして…」── 先日、弊社コンサルティングルームにご相談にお越しになられたYさんのお言葉です。

弊社には様々な方がお越しになられますが、開口一番に「犯罪」という言葉を聞いたのは、さすがに初めてのケースです。ちょっとドキっとはしたものの、まあこれまでにも、色々な方と出会ってきていますので、まずはお話を聞いてみることに。

伺えば、大学卒業後、ある大手企業に就職して働いていたところ、父親が経営している会社から当初の予定と変わったから「来てくれ」と乞われ、父親の指図と思われる番頭さんたちが「お願いですから会社に来てくれませんか…」と日参されることに。

絶対に嫌と拒んでいたものの、日参に根負けしてついに父親の会社に、部長として入ることに。ところが、当然ながら周りは自分より古参社員で埋め尽くされている会社。しかもこの会社は、実は株式公開企業であったために、なかなか思い通りにやることもできず…。しかも父親も、「息子が会社に入ってくれた」ということに安心されたのか、ほどなくして他界されてしまったというのです。

それでも、懸命に自分の居場所を作り出すために、とにかく営業成績を上げるんだとガムシャラに働き、新規受注の獲得のために奔走。中には、まったく新たな業界からも受注し、新分野の開拓を実現させたり…。

こうした成果により、周囲に認められてやがて副社長になり、ついに社長に。万事これで父親との約束を果たせた…思いきや、事件はこのあとに起こったというのです。古参の番頭役員から、「社長、これが本当の決算書です…」と。

手渡された書類を見て衝撃が走ったと言います。自分が会社に入るよりもはるか以前から、長きにわたり粉飾を行っていたというのです。それが社長になったその時まで、隠されてきたというのです。

当然、父親も知っていたはずですが、そのことには一切触れずに他界し、ごく一部の人以外には一切知らされていなかったのです。Yさんは経理部門でも仕事をしていたことがあり、副社長として様々な決算資料にも目を通していたにも関わらず、知らされなかったことにショックを受けたと言います。

確かに以前、「何か手書きの資料があったりして変だなぁ~」とは思っていたものの、まさかと思っていたことが、社長になって初めて告知され、目の前の現実になったのです。しかも金額も半端ではなかったとのこと。

最近、電機や自動車メーカーなど、上場企業の「粉飾決算」や「偽装」といったことが相次いで報じられています。日本を代表するような大手企業が、長年にわたり顧客や取引先、株主を騙し続けていたことが、白日のもとに晒され、信用を大きく失墜しています。

一世を風靡した大手証券会社が、粉飾が明るみに出て倒産に至ったり、全国規模のスーパーも消えました。こうしたことで消えていった企業は数え切れません。どれだけ隠して続けていても、誤魔化しきれなくなるときがきます。バレる時が必ずきます。

Yさんは、自社が粉飾していたことに対して一大決心をします。「すべてオープンにする」と。金融機関に「弊社は粉飾していました」と告げに行き、そして社内や取引先にも会社の事態を明るみにしていったというのです。

言葉ではほんの数行のことですが、腹が据わっていなければとてもできないことに違いありません。まさに代表取締役としての「断行」と言えるでしょう。

この結果、金融機関からなんとか協力を得ることができ、この企業は立ちなおるきっかけを得て、様々な重荷も吐き出し、他の協力してくれる企業や取引先を得ることができ、見事に再生することができたのです。

一方で、株式公開企業であるがゆえとも言えるのですが、Yさんは「粉飾決算」並びに「公文書の偽装に伴う詐欺」の罪に問われることになったのです。代表取締役という真のトップであるがために会社を守ることができ、一方でその責任を取らされたということで、数年間、塀の中で暮らしていたとのこと。

ちなみに実際に粉飾に手を染めていた古参社員などは、蜘蛛の子を散らすように逃げ、消えてしまったとのこと。お咎めしようにもいなくなってしまったので、責任はYさんただ一人が被ったといいます。

一部始終をお聞かせいただいた後、胸が熱くなりました。Yさんいわく、「こんなこと、誰にも相談できないので、ここに来ました」…とのことでしたが、不思議なことに言葉とは対照的に、実に爽やかな笑顔が印象的でした。

人に二種類あるとすれば、人に迎合して逃げて隠れて誤魔化すタイプか、自ら正しいと信じた道を真っ向勝負で行くタイプか…。

簡単そうに言いますが、後者のタイプは一歩間違えれば本当に死んでしまうかもしれません。そもそも、真っ向勝負を挑んでいくということは、それだけ困難にぶつかる訳で、毎回毎回、うまくいくことなどあり得ず、当然失敗の数も膨大になります。つまり、ポカミスは論外として、挑戦に伴う失敗が多いということは、それだけ勝負を挑んだということの証ということです。

失敗なき成功など絶対にありえません。それは「失敗していないだけ」という、実に小さな状態に満足しているだけで、大したことしていなければ、そりゃぁ失敗も少ないでしょう、ということなのです。

偉大な経営者や功を上げた方は、とにかく失敗談に事欠きません。それだけ闘ってきた証拠です。

「失敗が多い」、「多種多様な失敗をしている」、「失敗を笑って言える(乗り越えている)」、「失敗を活かして今を生きている」…といった状態こそ、真の成功と言えるのです。

そもそも人は、失敗した話を聞いてそこに共感を覚え、人間を感じ、学ぼうとするところが大いにあります。心の師と仰ぐ中村天風師も、一倉定先生も、恩師の牟田學理事長も、みな総じて人間味がたっぷりで、失敗というと叱られるかもしれませんが、話題に事欠かない方ばかりです。だからこそ、その人にかし教えることができないことがある、偉大な指導者なのだと。

失敗は隠しても必ず表に出てきて牙をむきます。必ずしっぺ返しをくらって自分が消えていかなくてはならなくなります。しかし失敗を活かし、乗り越えていくとき、そこに本物の道が開けていきます。あなたにしかできない、本物の道です。Yさんのご活躍が本当に期待されます。がんばってください!

次はあなたの番です。他の道ではない、あなただけの道を歩んでください。

 

 

 

著:五藤万晶

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