がんばれコンサルタント! 第41話:経営者との話の仕方

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第41話:経営者との話の仕方

社長の話を聞くのはホステスの仕事。社長に決断させるのがコンサルの仕事。


 先日、若手コンサルタントの方が事務所にお越しになられて、ご相談を受けていたのですが、その中で、「社長さんとの話の仕方がいまひとつ分からなくて…」という言葉がでてきました。

 いわく、「よく、“話を聞く人は好感を持たれる”といわれているので、できるだけ先方の社長さんの話を聞くようにしているのですが、思うように親しくもなれないし、コンサルティングも進まなくて…。かといって話を聞かないと、ますます険悪になって…」

 なるほど、コンサルティング先の経営者の方が、かなり年齢が上の場合に起こりがちなことですが、いずれにしろ最大の問題は、「話を聞く」ということに焦点が行き過ぎている、という点です。

 お相手の方が年配であれば、誰でも怖さを感じたり、気後れしたり、場合によっては空気に飲まれてしまうこともあるでしょう。ここで、「まずは話を聞いて親しくなって…」と考えるのはある意味当然のこと。

 ただし、話を聞くのは手段であって目的でもなんでもありません。言葉は悪いですが、話を聞くだけで済むのはホステスの仕事であって、コンサルタントは話を聞いた上で社長に決断実行の手を打ってもらうのが仕事です。

 ここでよく、「ではコーチングの要領ですね?」と 言われる方がいますが、これも全然違います。冷静に考えていただきたいのですが、社長をコーチ んぐ(ing) することができると思いますか?

  「コーチング」の言葉の定義にもよりますが、本来の「人を育てるための気づきを与える方法」というのは、人材育成の手法です。社員が対象の研修のときに力を発揮することであって、経営におけるコンサルティングの現場では、 メンタル成長やスキル成長などを経営者は求めていません。社長が求めているのは、具体的な解答や実務が動くことです。

 そういう意味では、そもそもコンサルタント側に、「これが自分が考える一つの具体的な理想像」というものを必ずもっている必要があります。 これなくして話をしていても、結局、社長がしたいことを単に聞いている…ということになりかねません。

 話を伺うのは、可能な限り現場と経営者の想いをくみ取り、それと理想像との接点を見つけ出して経営者に実際に手を打ってもらうためです。精神性では済まないのが企業コンサルティングであり、実際に動いてもらうからこそ経営者から本物の信頼を得られる醍醐味があるのです。

 

著:五藤万晶

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