がんばれコンサルタント! 第406話:コンサルタントが知っておくべき、恐怖心がもたらす経営の打ち手の特徴
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「ゴトウさん、状況が改善するより悪化傾向のため、クライアント先の二代目の社長がちょっと心配なんですよね…」── 先般ご相談にお越しになられた、ご活動歴10年以上のベテランコンサルタントの方のお言葉です。
何でも、そのクライアント先は、飲食関係の事業をされているとのことで、今回のコロナ問題によって商売に大きな影響がでてしまっているとのこと。
大きな制約の発表が出される前から、すでに電車も街も、一部の地域を除けば人がめっきり減っています。都心はテレワークやリモートワークの推進により、大手企業が多かった地域ほど減少傾向が鮮明で、大手商業施設なども営業時間の短縮や休業するところが増えたため、こうした地域で飲食関係をされていると、ダメージも相当なものというのは想像に難くない話です。
こうしたとき経営的に恐ろしいのは、なんといっても「固定費」でしょう。売上が上がらない、もしくはほとんどゼロになっても、払わなくてはならないものがあれば、文字通りお金はどんどん消えていくことになります。
特に大変なのがテナント代や人件費。当たり前ですが、営業しているかどうか、売上があがっているかどうか…に関わらず、お金がかかってきます。家賃で言えば、払えなければ、「追い出される」という恐怖は、一個人でも、ちょっとピンチになった経験がある人なら、誰でもすぐ分かることに違いありません。
ですから、こうした状況になると、一斉に「固定を見直せ」「経費をカットしろ」と号令が飛んだりします。ある意味、ビジネスを守るための常套手段と言えるでしょう。実際、傾いた会社で行われる定番の手と言えば、この固定費の削減だったりします。
では、固定的な費用がなければ、ビジネス的に有利とか正解…かと言えば、世の中それほど単純ではありません。
当たり前ですが、物事には何でもプラス面とマイナス面があります。そのことをよく理解した上で、微妙なバランスを取りながら、ビジネスを上手に成長させていくところにこそ、「経営者の腕のみせどころ」があります。
高い家賃やテナント代を払わされるのは金輪際御免…とばかりに、郊外の安いところへ移転したり、とにかく活動停止で巣篭もりを決め込んだり…とするのも一つの考えではあります。ただし、この判断が、「正常な思考の元で行われているのか?」というところが重要なポイントです。
理由は単純です。経営とはどこまでもお客様を相手に行うことであり、相手都合を優先して進化発展、つくり変えていかない限り、確実に衰退していくことになるからです。
郊外の安い土地でビジネスを行うのも、もちろん結構なことです。しかし、そこに人を呼ぶとしたら、都会でやっていた以上の技術やノウハウ、手法…といったものが無い限り、絶対に招き寄せることはできません。これが簡単なことなら、世の中に過疎の問題など、起きるはずない訳で、こんなことは小学生でも分かる話です。
巣篭もりも同様です。一切の活動を停止して…とは、一つの方策に見えなくもありませんが、これがもし、単に無策による活動停止であれば、「来たるときに、またお客様がもどってきてくれる保障など全然ない」ですし、先進的なライバルが、このタイミングに一斉にしかけている可能性は非常に高いのが事実です。
重要なことは、「恐怖に取り付かれて行ったこと」の最大の問題は、単なる恐怖から逃れたいがための方策や、言い訳に過ぎないということです。相反する悩ましいことに対して、マイナス面を少なく、プラス面を大きくするにはどうすればいいか…。経営に携わる者であれば、ここから一歩も逃れられないと覚悟し、必死に考え抜くしかないのです。
ちなみに、恐怖から行ったことかどうかは、一発で見抜けます。プラスの戦略的な打ち手とセットか、もしくは隠されているかどうか…だからです。
これまた当たり前ですが、単にカット、単に止める…なら、言葉は悪いですが「誰でもできる」話です。辣腕の経営者でなくてもできる話であり、実際外部の人でもできることです。
しかし、新たな取り組み、しかもそれを成功させていく…ことは、当然ですが誰にもできる話ではありません。だからこそ経営者の存在が光るのです。そしてその経営者を手伝えるのが、本物のコンサルタントということです。
いつも申し上げていることですが、新しいものを仕掛けていくときに、終わった数字を見て「ああだこうだ…」と言っても、何も変わりません。必要なことは、新しいものを考え、仕掛け、つくっていくことです。
この原動力とは「好奇心」にあります。恐怖心にとらわれて単に萎縮していくのか、それとも意思を持って好奇心に変え、代替の方策や戦略を練っていくのか…。
あなたは、次の方策、戦略をどのように立てていこうとしていますか?
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