がんばれコンサルタント！ 第119話：研修講師からコンサルタントに脱皮する法

第119話：研修講師からコンサルタントに脱皮する法

 

 

　「ゴトウさん、研修講師を何年も続けているのですが、何か自分の中で納得がいっていないんですよ…」── 先般、セミナーにご参加された後、ご相談にお越しになられた方のお言葉です。

　伺えば、研修講師として１０年以上の実績をお持ちになっており、講演やセミナーの講師として登壇する仕事が多く、企業からの依頼で社内研修の仕事も数多くこなしていて、収入的にもある程度満足できる水準にはある…とのこと。

　実は、セミナー講師や研修講師としてご活躍の方が、「コンサルタントになりたい」ということで弊社にお越しになられることは多く、第一線でご活躍の有名な方も来社されるため、コンサルティング場所は住所非公開にさせていただいているのですが、実に様々なご相談をいただきます。

　その中でも特に多いのが、冒頭の「何か納得がいっていない…」というご相談です。２、３時間のセミナーで数万から10万円以上と、効率よく稼いでいるように見えるのですが、詳しく伺ってみると、悩ましい事情のお話も多いのです。

　世間では、年収１５００万円なら成功…と思うかもしれません。しかし、人それぞれ、様々な事情を抱えながら仕事をされているもので、１＋１＝２ のような簡単な算数で答えが出せれば、これほど世の中簡単なことはないのですが、現実はそう甘くはありません。

　ですから、様々に複雑なことがあることを承知しているのですが、冒頭のようなご質問をいただいた際には、あえて一つだけ、こちらからご質問を投げかけています。それは、

　「現在のお仕事は、人生を賭せるものですか？」

　というものです。

　読んで字の如くですが、人生を賭して何かを実現させていきたいものかどうか…で、自分が発揮できるエネルギーも、関わる人への影響も、そして長く続けていくこによる成果も、まったく違ったものになってくるからです。

　それこそ単純計算ですが、毎年３パーセントずつ違うだけでも、３０年後には２．４倍もの差がついてしまいます。１年間でたった３％の差でももの凄い差になるのです。

　自らの使命を考え、そして人生を賭してやっていこうとするとき、自らのエネルギーは３％どころか、１０％も２０％も力強く発揮されるようになります。

　人は誰でも、何かが実際に出来上がったり、カタチになったり、結果が大きく変わったり、第三者を通じて喜ばれたり、評価されたり…ということが起きると、何か爆発的な力が生じはじめます。

　特にこの傾向は、社会に対して行われ、その成果を知覚できるようになることで、より一層顕著になります。

　これは、事業を営む経営者の場合もコンサルタントの場合も同じです。自らの使命や、なすべきことが明確になると、腹を据えた展開となります。いかなる困難や障壁をも乗り越え、力強い成長を実現させていきます。目指すべきものが明確であり、しかも人生を賭しているだけに、迷いもないからです。

　研修講師やセミナーの仕事に、そうした充実感がないとは言いません。しかし、お越しなられる方々が口にする言葉に、「経営トップへの指導でなければ、根本的には変わらない…」ということをよく耳にします。

　これは、拙著『コンサルタントのための、キラーコンテンツで稼ぐ法』の中でもご説明していることですが、自らの知識や経験、ノウハウ…をもってして、本当に世の中に貢献することを願うならば、ぜひ経営トップ層などの決定権者、決裁権者を相手にして、コンサルティングを実施すべきと考えています。

　経営者の意思決定と方針こそが、事業の方向を決定するからです。どれだけ社員やスタッフを育てようとも、この事実は変わることはありません。自らの決断が自分の仕事、ビジネスを決定づけるのと同様に、事業経営とはトップの決断がすべてなのです。

　こうしたことを冷徹に考えるとき、仕事とは「働いてお金を稼ぐこと」ということは紛れもない事実であっても、人生の後半に突入するとき、本物を求める人であればこそ、いつまでも「時間稼ぎの仕事」をつづけていると、本当の自分がどうしても「何かが違う…」とサインを出してくるということです。

　この悩みに対する答えは、「人生を賭せる仕事」、「本当に納得がいく仕事」に踏み出す…以外にありません。そして、この決断は、「年収３０００万円以上の夢の実現」という魅力も事実ですが、「自分自身の本当の納得」こそが本当の意味で重要となります。

　決断できる人と、なかなか決断できない人の違いはここにあります。金額で考える限り、いかに魅力的であっても、損得勘定や効率のいい時間稼ぎの延長でしかないため、決めることが難しくなってしまうのです。

　「正直、不安はあります。でも不満は完全に消えました！」── 弊社の門を叩いてコンサルタント起業をされた方の言葉です。

　さあ、次はあなたの番です。あなたの出番を、多くの企業が待っています！