がんばれコンサルタント！ 第417話：コンサルタントが絶対に知っておくべき、ビジネスにおける二次感染の威力

「ゴトウさん、いよいよ東京も全面解除になりますが、周囲のコンサルタントの方々の活動状況はどんな感じですか？」── 先日事務所にお越しになられた、６年ほど前からお越しになられている方のお言葉です。

最初にお越しになられたとき、開口一番の言葉を今でもよく覚えています。それは、「私はいま37歳ですが、40歳の時に年収１億円になりたいんです」…というもの。

当初は正直、まあ勢い言葉かな…と思ったりしたのですが、とにかく目は真剣そのもの。冗談で言ってるのではない…というのはすぐに伝わってきたので、その後、鋭意コンサルティングの体系化をお手伝いし、年に数回、節目節目においてもご相談に乗りながら…今日に至っています。

そんな昔話もしながら、今後の方向性のご相談を受けていたのですが、こうしたとき、当社が常に意識していることがあります。それは、「未来のあるべき姿に対して、いま何をしなければならないのか」を、可能な限り忠実に判断する…というものです。

ある意味、実に当たり前のことを言っています。「そんなこと常識でしょう」…と声が聞こえてきそうです。

しかし、現実的なことで申し上げれば、人は誰でも、「少しでも楽をしたい」、「努力や面倒臭いことは避けたい」、「簡単にできる方法はないか？」、「何かマネできるものは？」…という思いが次々に出てくるものです。

このコラムを書いている私自身も同じです。「楽をしたいと思ったことなんてない！」などと言う人がいれば、それこそ偽善者であり、間違いなく嘘つきだと言えるでしょう。楽をしたいと思うのは人間の本能だからです。

重要なことは、この「楽をしたい」ということに対して、どれだけまっとうに受け止め、王道に収斂させて歩みを進めていけるか…という点です。要は、本当に楽をしたければ、最も重要な「やるべきこと」をどれだけ確実に速くやるかどうか…ということです。

野球でヒットを打ちたければ、「素振り」が重要になってきます。しかし、この素振りというものは、球を打たないだけに実際の打撃より辛く、苦しいものになる…とは、野球関係者の言葉ですが、ヒットやホームランを打つ人ほど、この素振りを絶対に怠らないそうです。

物事には基本や土台になるものが必ずあります。しかしこれらは極めて地味なもので、早く楽をしたい人からすれば、「そんなことより、早く球をかっきーんと打てる方法を教えて！」と言い出したりします。

もちろん気持ちはわかります。しかし、「やるべきことをやって」打席に立つのと、いきなり表面的な「●●打法！」で打とうとするのと、どちらが結果的に早く理想の状態に近づけるのか…ということです。

怖いのは、先に申し上げたとおり土台を積み上げることの重要性を「頭では分かってる」はずなのに、低俗な人が周囲にいたりして、その人との接触により「思考の感染」が起きてしまうことです。

思考は間違いなく感染します。それは良くも悪くもです。素晴らしい発想や思考の方と長きにわたって一緒に過ごすと、本人も無意識の間に、驚くべき凄い思考、もっと言えば「考える基本」「思考のエンジン」を持つようになります。

これはまさに財産とも言えるものでしょう。物事はすべて、思考から生み出され、行動に移され、実現に向かっていくのですから、その大本が力強く、そして素晴らしいものであれば、間違いなく成功していく確率は上がることになるからです。

創業経営者が創業経営者と集まり、偉大なクリエイターはクリエイター同士、優れた人は優れた仲間を持ち、伸びる人の知人は伸びる人でにぎやかになる…。一方で逆もまたしかり…。いつかは…とボヤいたり愚痴っている人はそういう仲間でたむろし、お先は暗いと思っている人はそうした人ばかりが集まる…という、恐ろしいまでの二次感染力が世の中には存在しているのが事実なのです。

自分がどちらを選ぶかは、まさに自分次第であり、感染力という見えざる力によって、自分の努力以上の加速力を持って大きな差になっていきます。

冒頭の６年前にお越しになられた方は、「ゴトウ先生、当初より少し遅れてはしまいましたが、先日終えた決算では、念願の１億円に到達することができました。ありがとうございます、ご報告いたします。」とニッコリ教えてくれました。

優れたリーダー、社長のいる会社が伸びるのは、単にその人が凄いだけではなく、その感染力を上手に活かしていることが重要なポイントです。これはコンサルタント業においても、まったく同じです。

自分自身の飛躍においても、そしてクライアント指導においても、優れた感染をいかに上手に使うか…。

当社には多くの大活躍している人がお越しになっています。次はあなたが本当に活躍する番です！