がんばれコンサルタント! 第141話:コンサルタントとして、どう未来を読むか?

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第141話:コンサルタントとして、どう未来を読むか?

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コンサルタントの方々と杯を交わすことがよくあります。その中でよく話題になることの一つに、「これからのビジネスはどうなるのか、社会はどう変わっていくのか…」といったことがあります。

五藤はもちろん経済学者ではありませんので、未来予測など専門外なのですが、昔から「不思議だな~」と思うことがいくつかあります。

その一つが、「延長思考の前提」です。分かりやすく言えば、現在の状態や傾向が続いていくことが「前提」になっていて、その上で物事を考える…という落とし穴です。

経済学者でなくても誰でも、過去から現在に至る時間軸の中で、その変化や傾向値を元に、「未来はこうなる」と考えるこの手法は、実に多くの場面で自然に行われています。雨雲が来たから間もなく雨が降るだろう…なら、特に大きな問題もない現象ですが、例えば、

 ・バブル期の時には、土地はずっと値上がりを続けると大多数が信じていた
  ・有史以来、自然金利は3%であり、それ以下の金利はありえない
といったことに、我々はすっかり盲目的に信じてしまっていた事実がある訳です。

面白い?予測には、
  ・昭和初期の日本の将来予測では、人口が3億人を突破するので移民が国策だった
  ・馬車の時代の未来予測では、馬の形をした機械が客車を牽引すると予測

といったものが、実際にあったという事実です。いま考えれば、ほとんど信じられないような嘘のような本当の話です。
 我々の身の回りでも、
  ・これだけ電話ボックスがあるのだから、携帯電話なんて無用の長物
  ・就職するためには、自動車を運転できることが重要だから免許を取りなさい…

といったことが現実に会話にでてきていました。

人間は便利になるということに対しては驚くほど貪欲なので、2メートル先のテレビのチャンネルを変えるのに、リモコンを必死で探すということを平気で行います。

このことが分かっていれば、携帯電話自体の予測は「願望」でしか考えられないとしても、ひと目携帯電話の登場を見れば、広まることはすぐに予測できたでしょう。

「英語」に関しては昔から重要とされ、多くの人が慣れない語学に時間を費やしています。小学生の時から学習…ということも始まります。でも本当にそうなのか、この前提条件を疑ってもいいと思っています。

戦艦武蔵がフィリピン中部シブヤン海で発見された…と話題になっていますが、この船は大和と兄弟艦となる当時世界最大かつ最強と謳われた巨艦として有名です。

この船が沈んだのは、海戦術の変化が大きく、船同士の戦いの時代が終わり、航空機による機動部隊の攻撃になすすべがなかった…というのが理由とされています。

前提条件が変われば、何もかも根本から変わります。自動車にしても、自動運転の車が街中を走行し、その比率が過半数になる時代になれば、やがて「運転免許」というものは、「一部の特殊な人が、特別に許可を得て街中を走ることができるスペシャルな許可書」ということになるかもしれません。

現代で言えば、街中を馬で走るようなもので、特別に許可を得てください…というイメージです。原則、街中の人間の運転は禁止。好きな人だけが特別な許可を取るということですが、これは、多くの人にとって自動車の運転とは、楽しみより「手段」だからです。

自動運転の場合、事故を起こしたとき誰が責任を取るのか…といったことが議論されていますが、これとて、「自動運転の方が断然事故率が低い」ということが確認されれば、保険会社は確率論でビジネスをする訳で、人間が運転しないのなら年間の保険代は「10分の1でいいですよ」となれば、一発で話は変わります。

英語に関しても、すでに「ほぼ同時通訳」の小型端末ができつつあります。さらに小型になって性能があがって…となることは間違いないわけで、そうなれば、外国語を必死になって覚えることの意味は大きく変化することは間違いありません。

一般的な会話ならまったく問題なく端末を通じて行え、一部の特殊な人だけが言語を直接覚える…ということも、あながち夢ではないかもしれないのです。

むしろ、自分が何を考え、何を伝えるのか…ということを、しっかり何語でもいいので考えられる力こそ重要となるかもしれません。

やっかいなのは、思考には何かしらの基準軸が必要なため、この前提条件というのをゼロにするということが事実上不可能ということです。

人口、資格、通貨、経済、職業、電気、学校、会社、役所、制度、地域、売り方…我々が無意識に考える基準軸は、数え切れないほどあります。

重要なことは、人間の習性に根ざしていることなのか、根本となる前提条件を変える可能性のあることなのか、これを単なる変化や新しいこと…と混同しないことです。

我々にできることは、日ごろより、「もし…」ということの訓練と、人間が持つ根本的な習性を知るということに他ならないと考えます。これこそ、コンサルタントが学者に優り、実務で未来に手を打っていく重要な戦略ポイントと言えるでしょう。

 

 

著:五藤万晶

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