がんばれコンサルタント！ 第456話：コンサルタントが押さえておくべき、人が動いてくれる指示と動かなくなる指示の違い

「ゴトウさん、このコロナの影響は、いつまで続くと思いますか？」── コロナ禍の影響がいろいろなところに出ていますが、クライアントさんはじめ、ご自身も少なからず影響を受けてしまっている、コンサルタント仲間のお言葉です。

コロナの影響がいつまで…というのは、これは答えるのがなかなか難しい問題です。当社は経済予測を専門とする会社ではありませんし、へんな話、コロナの影響で、「世の中のすべてのビジネスが悪くなっている訳ではない」からです。

重要なことは、「自分のビジネスが何かしら影響を受けたとして、それを世間一般論として捉えても意味がない」ということです。

当たり前のことを言っています。ありとあらゆる商売が一律に影響を受けているならいざ知らず、そうでない商売があるとしたら、要は「やり方次第で、良くすることができる」ということを意味しているからです。

そんなことはわかっている…という声が聞こえてきそうですが、このことを本当に腹の底から分かっていないと、「景気がよくなるまで、〇年間、耐えるしかない…」といったことを、真顔で言いはじめかねないからです。

何が、問題かは言うまでもありません。お勤めや従事者の立場であれば、これは、まあ致し方がないのかもしれませんが、もし主体者がこうしたことを言うとすれば、それはすなわち「自分で商売を良くすることはできない」と宣言していることであり、それは「商売の放棄」と言わざるを得ないからです。

いかなる理由があろうとも、「自分の商売を守る、強くする、伸ばす」ことは、経営者の責務であり、経営者の裁量によってすべて結果が変わってくることです。他に理由を求めるとしたら、「責任放棄の言い訳」ということです。

だからこそ大事なことがあります。経営リーダーならびに指導をする立場の者であれば、「ただ単に耐え忍ぶかのごとくの指示」を出した時点で、自ら「無能宣言」したも同然であり、ほんの一瞬の我慢のフリはしても、そう遠くない時期に、離反が必ず起きることになるということです。

理由は単純です。「人は誰でも、自分より程度が低いと思っている人の指示は聞こうとしない」からです。

難しい話でも何でもありません。立場や役職がどれだけ上といったところで、その人物がにいかにも疑問符がつくような事であれば、だれも尊敬しないし、素直に言う事に従うことはなくなるからです。

こと、経営の打ち手や指導ともなれば、いわゆる「アタマ大丈夫？」と思うような馬鹿にしているような人の指示を、一体だれが聞くのか…という話です。

重要なことは、我慢することそのものではありません。何を実現するのか、そしてそのために、手を打ち続けることを、辛抱強く我慢強く行うことこそ重要なのです。

当然ながらそこには、知恵が必要であり、アイデアが必要であり、そして何より我慢強さと丹力が必要です。単に耐え忍ぶことを要求するのとは訳が違います。

人は本当の意味での希望や光明に対して、自ずと力が湧き、そして元気を出していくようになります。

一方で、意味不明な指示や命令、単に我慢を強いることに対しては、表面的にだけ従うフリをして、どんどん心は離反していきます。

その境目は、具体的な打ち手を伴っているのかどうか…、そしてその実現のために努力を続けているのか、し甲斐があるのか…という点です。

ちなみに、庶民の花見のルーツは、江戸時代の徳川吉宗の行った享保の改革の際、質素倹約の息抜きとして、庶民に楽しみを与えるために江戸にたくさんの桜を植えたことからと言われています。

しかも川の土手に植えれば、桜の根が張るのに加えて皆が集まって土を踏み固めて土手が強くなって治水ができる…という一石二鳥策。まさに賢さがあふれた打ち手と言えるでしょう。

だからこそ、桜を禁じるとしたら、それはどういうことになるか…。知恵のあるリーダーかそうでないかは、打ち手一つをみてもすぐ分かってしまいます。

あなたは、周囲の逆境に際して、具体的な打ち手を繰り出していっていますか？
あなたの知恵とアイデアが、いま本当に試されるときが来ています！