がんばれコンサルタント! 第475話:なぜコンサルタントは独立していなければならないのか?

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「ゴトウさん、昔からコンサルタント起業を考えているんですが、あとはタイミングだと思っていまして…」── 以前、五藤のセミナーにご参加され、先般スポット相談にお越しになられた方が口にされた言葉です。

ご相談の際には対面でお座りいただくのですが、すぐにテーブルに五藤の本を3冊だされ、それも付箋がかなり貼ってあるようで、「何度も読んでいます!」と笑顔のご挨拶をいただいてスタート。

本を出している身としては、本当にありがたいことです。世の中、本が出ていても、その本が読まれるとは限りません。出版業界の統計としては、「流通する本のうち、約4割が返品になる」と言いますから、買って読んでもらうだけでも相当なハードルがある…というもの。

ちなみに、この返品4割…というのは、ものすごく売れているベストセラー書も含めた数字ですので、売れている本は店頭に並んでもすぐに売れて、また補充してもすぐに売れて…ですから、返品率を下げる効果を大きく発揮します。逆に言えば、売れない本についての実態で言えば、恐らく8割を超すような確率で読まれずに消えていく…というのが現実ということになります。

本ついででちょっと脱線しましたが、そんな実に厳しいハードルを越えて買っていただいて読んでいただいているありがたい状態を目にすることは、これは本当に著者冥利に尽きる訳です。

しかし、一方でそれとは別に、ことご相談の内容に関して気になったことがあります。それは、「昔から…」という点です。

伺えば、もうかれこれ10年くらい前から「いつか始めるぞ」と心に念じて、様々な勉強を重ねてきた…とのこと。マーケティングも勉強したし、五藤の本もすべて買ってコンサルティングに対する考え方も一通り理解できた…。業界動向もウォッチしているのでどの分野がいいのか大体予測がつくようになった…。

お話しを伺っていて、まあ余計なこととは思いながらも、職業柄黙っていることができず、「えっと、今日は何しにお越しになられたんでしょうか?」と聞いてみることに。そう、最も重要なワンピースが欠落していると感じたからです。

勉強することは大事ですし、下調べも大事。様々な準備も大切ですし、時には資格やマーケティング、調査やシミュレーションも重要でしょう。

しかし、もっと重要なことが一つあります。それは、「やる」という実に単純なことです。もっとハッキリ言えば、ああだこうだ言ってないでやってみなさいよ。でなきゃ、あっという間に年老いてあの世行きですよ…という話です。

冗談で言っているのではありません。真面目な話です。何かを「やる」ために準備をするのであって、準備が目的になったり準備に満足を覚えるようになったら本末転倒なのです。むしろ、なまじ時間をかけていれば、覚えたことが古くなり、再勉強しなくては…の意味不明の「やらないための負のスパイラル」に陥いる人も少なくありません。

結論から言えば、この手の人は、「●●が足りないですね、これを勉強した方がいいですよ」などと言ってあげると、「ええ! そうですか~、大変ですね、う~ん」と困った表情を見せながらも、実は内心ほっとして喜んでいたりします。踏み出さなくていい理由ができるからです。

当社がとても優しいスタイルであれば、こうした対応を冒頭のお越しになられた方にもしてあげられるのですが、どうも代表者の性格の問題もあって?!、全然違う対応をいつもしてしまっています。それは実に単純です。実際に始めるのでしたらお手伝いしますし、その途中経過でどうすれば少しでも上手く行きやすくなるか、これらもしっかりアドバイスしますよ…と。それが当社の役目と思っているからです。

世の中には、「お話しを聞いてあげてお金を頂戴する」という、まさに優しいスタイルのところもあります。具体的な答えやどうすればいいのか…ということとは関係なく、「はい、分かりますよ、たいへんですね~」「お気持ち察します、悩みますよね~」と、寄り添うスタイルですが、お友達や飲み屋ならいざ知らず、それで満足するとしたら、「やらないための理由探し」をしているとしか言いようがありません。

大事なことは、自分が飲み屋の話し相手をやろうとしているのか、それとも本物のコンサルタントをやろうとしているのか、そこをまず決める必要があるということです。あまりにも馬鹿げた話のように聞こえるかもしれませんが、この部分が揺らいでいると、自分が何をしなくてはならないのかがいつまでも定まらない、ということが実際に起きます。

当社は本気で自分独自のコンサルティング商売をやっていきたい…と考える方々のためのアドバイザリー機関です。ですから、自分独自…の展開のための考え方や、最も重要なコンサルティングの体系化のためのお手伝いはしますが、〇×式の答えの提示や単なる悩み聞きといったことはやっていません。当社の方針にないことだからです。

そういう意味では、実際にやってみないことには分からないことが山ほどあります。お勉強をどれだけしても、シミュレーションをどれだけしても、資格やライセンスをどれだけ持っていても、たった一つの実施がすべてに優る世界があります。

冷静に考えてみてほしいのですが、指導しようとしているその相手とは、すなわち経営者や実際にビジネスを展開している企業なのです。その相手に対して、四の五の言っているアマチュア精神レベルの人が、一体何を指導しようと言っているのか…ということです。

少なくとも、独立して自分のビジネスを成立させていっている立場でなければ、経営のアドバイスなど、まともにできる訳がない…と考えるのは、この世界を少しでも知れば、あまりにも当然と考えるのが自然というものです。

肩書はコンサルタントと書いていても、実際にコンサルティングをしたことがないとか、雑誌記事を書いているだけ、諸手続きをしているだけ…というような状態であれば、望んでいるような本当の活躍は永遠にやってきません。大上段に語ったところで「すべてお勉強で覚えた架空の話」であれば、むなしさだけが積みあがっていくことになるでしょう。それでいいんですか? という話です。

再度申し上げますが、当社が考える優しさとは、本気の人を後押しすることです。表面的なものに対しては優しさだとは考えません。それは最も貴重な、人生の時間の浪費と考えるからです。

あなたの本気をお手伝いします。次はあなたが悩める経営者を助ける番です!

著:五藤万晶

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