がんばれコンサルタント! 第485話:コンサルタントが知っておくべき、後手後手にまわる人たちの共通点

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「ゴトウさん、クライアントさんのところで新しく始めたことが、かなり明かりが見えてきて復活どころか、大きくジャンプできそうになってきたんですよ!」── 先般、ある仕事の打ち合わせでお会いしていた、旧知のコンサルタント仲間の嬉しい言葉です。

なんでも、昨年来の自粛ですっかりお客さんが少なくなって困っていた、あるサービス業のクライアント先で、起死回生の新しい施策を行ったところ、思いのほかアタリがでたとのこと。

様々な制限がやっと解除になりましたが、お客さんが帰ってきたところもあれば、さっぱり…というところもあります。その明暗の様子は東京都心でも繁華街と言われたところをちょっと歩いてみて、ガランと空いたままで「テナント募集」の張り紙がそこかしこにあるのを見れば、誰にも一目瞭然と言えるでしょう。

この「がんばれコンサルタント!」でも、何度もお伝えしてきたことですが、伸びているビジネスと衰退しているビジネス…の大きな違いは、業種業態論うんぬん…を論じるよりも、「昔からのやり方を変えていっているかどうか…」に尽きます。

分かりやすく言えば、ごくごく一部の先端企業なら、GAFAに代表されるように「インターネットの商売」で突出しているかもしれませんが、そうでない圧倒的大多数の企業は、「インターネットを使った商売」で成長しています。似ているようでまったく違う話です。

要は、時代の寵児がごとく巨大ビジネスをする話はともかく、普通のビジネスの話として、商品にしろ、売り方にしろ、新しい方法を試しているか、新しい方法を取り入れているか…という、実に単純なことに尽きます。この当たり前のことを厳正に受け止めないと、業種業態まるごとで衰退するとか、飲食やサービス業は無理…みたいな、意味不明な話になってしまいます。

伸びているところは周囲が苦境に陥っていても伸びています。そして、もう一つハッキリ言えることは、業績不振や苦境を嘆くところに限って、「驚くほど新しいことを何もしていない」という現実が浮かび上がってきます。景気が悪いからお客さんが来ないし、売上が上がらないんだ…と。

これは、個人にも間違いなく言えます。「稼いでいる人、稼いでいない人」、「5年前とほとんど収入が変わっていない人」、「10年前と結局、同じかむしろ悪化した人」…。その根本の原因をたどれば、要は「いつもと同じことを、やっぱりやっている」、「変えなければ…と思いながら、結局変えていない」という、びっくりするほどのワンパターンが理由だったりします。

もちろん、理由もあります。そもそも、「変える」ということについては「リスク」があり、そして何より、「恐怖」や「苦痛・不快」が伴います。現在が極めて劣悪な状況でもなければ、わざわざリスクを冒してまで新しいことはしたくない…と考えたとしても、これは至極当然でしょう。

ただし、面白いことが一つあります。それは、「無理やり壊される」のと、「自分から壊す」のとでは、人は受け止め方がまるで違う…という事実です。

簡単な話、砂場でせっせと砂を集めて高い山をつくったとして、それを誰か知らない人に足蹴に崩されたら、「何するんだ!」と怒るでしょうけれど、これを自分で崩すなら、大抵の人はどこか爽快な気分を感じていませんか?という話です。

砂場のお山程度に思われたくない…という人もいるかもしれませんが、「自分の人生を、ちゃんと自分が思うがままに、しっかり生きていく」ということを真面目に考えるとき、そこには自己実現とともに、自己責任の考えも当然宿ってくることになります。

だから、自分が「ある物事に対して決定と責任」をしっかり行っていくクセをつけていないと、何か事あるごとに、「周囲を見回して、それに合わせる」「何かをやって上手くいかないと、必ず他人のせいにする」という生き方を無意識にするようになっていってしまう…ことになります。

この手の人は、他人のマネをして砂場で山をつくっても、他に新しいことをするわけでもなく、おどおどしながらじっと待っていて、その内、他人に蹴散らされて憤慨する…という、意味不明なことをしまう。そう、気分がすぐれない時間が実は長いのです。

自己決定に一歩足を踏み出した人たちは、周囲を気にすることなどなく、自らの考えに基づいて「次の行動のために山を崩す」ということをします。まるで爽快感を伴っているかのごとく…です。

新商品でもサービスでも、独立でも起業でも新事業…でも、周囲を見ながら後追いするかのようなことをしていれば、一見上手くいく確率が高いように見えて、実はどんどん成功確率は下がっていきます。

理由は単純です。同じことをやるとしたら、先に飛び込んでいった人には先行者利益があって、後になればなるほど「当たり前になっていく」からです。さらに言えば、「安全だからやってみる」というへっぴり腰の人と、「自分がやると決めたからやる」という前傾姿勢の人とで、確率は当然大きく変わる…という話です。

どうせやるなら、爽快感があって成功確率も高まるほうがいいに決まっている…と思うのですが、いかがでしょうか? 現状打破も、自分から行うと、怖さももちろんありますが、間違いなく「ふっきれる」という得がたい効果も手にできます。これが次への行動力につながっていくのです。

何より、現状にぶら下がって同じことを続けている時と、新しいことに必死にチャレンジしているときとでは、自分の気分もテンションもまるで違うことに気づくでしょう。もっと言えば、このことを知っていなければ、コンサルタントは、クライアントを鼓舞して次の施策に向かわせる…ということが、自分が分かっていないだけに、本当の意味でできなくなってしまいます。

さて、一昨年と去年、そして今年…とで、大きく世の中が変わりました。何が新しくて何が通用しなくなっていっているのか…。

重要なことは、「変えてもいいこと」に終始することなく、「変えなくてはならないこと」「変えてはならないこと」…を自分の人生やビジネスにおいてしっかり把握できているか…ということです。

曖昧にしていると、変えてはならないことに手を出し、変えなければならないことをそのままやり続ける愚を犯しかねません。その先に、あなたが報われる未来はやってくることはありません。

いま世界的にも、大きな時代のうねりに突入しました。この1年は、次の5年や10年につながる大切な時期と言えるでしょう。あなたはどんな新しいことにチャレンジしますか?

著:五藤万晶

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