がんばれコンサルタント！ 第645号：コンサルタントが考えてみるべき、「新しい前提条件」からの展開法

「ゴトウさん、来年のビジネス展開はどんな感じで考えているんですか？」── 先般、親しいコンサルタント仲間と一杯やりながら、とある企画について打ち合わせしていたときに出てきた言葉ですが、１１月にもなれば、来年の話もでてくるもの…ということで、酒のツマミ？にワイワイ話をしていたときに盛り上がった話題です。

来年の話…というのは、自然と気分も高揚しますし、話していても楽しいことが多いと思います。新しいカレンダーや手帳を買った人なら、それを眺めたりするだけでも、なんだかワクワクしてくるでしょう。

ですから、酒のツマミに気楽に話をするならそれはそれで楽しいものでしょう。ただ、それなりに真面目に来年を考えるとしたら、注意すべきポイントがあります。

それは、ズバリ「無意識に考えている前提条件」です。無意識であるがゆえに気付きにくいのですが、これが大きな落とし穴になるからです。

無意識とは思考回路の中で標準モードで行われているものです。すなわち、自分でも気づかないうちに「当たり前」として、使っていたりします。

その最たるものは、「変わらないこと」を当然としたり、普通だと思っていることです。天候一つでも、株でも円ドル相場でも、事件でも企業の浮き沈みでも…、ちょっと動くと「予想外」と慌てふためくのは、その典型例です。

歴史から学べば実際には僅かな変動だったりしますが、マスコミが騒ぎ立てることも重なって「史上初！」「未曾有の…」といった異様な扱いになったりするのでそれこそ驚きです。

冷静に考えれば、過去のデータや経験がそのまま続くと信じるほうがどうかしているのですが、要するに、「変化しない」という無意識の前提、もっと言えば無意識の願望が、そうしたショックを増大させている訳で、これこそが最も大きなリスクなのです。

現実的なことで言えば、「こうしたリスクについて冷静に前提条件として設定してみる」ことは重要でしょう。以前このコラムでもお伝えした自衛隊で行われている「図上演習」などは、まさにこの具体的な訓練方法であり、優れた企業のトップの方々は、こうした演習を実際におこなって「万一の時にも事業を守り、逆境を活かして成長につなげる」ということをされていたりします。

一方で、「気軽に前提条件を外して思考する」という、いわば楽しみながら行う方法もあります。それは、「ビジネスにおける大事な前提条件などを一度外して考えてみること」です。思考のブレイクスルーを生む鍵となります。

例えば、「出張ゼロで活動してみる」「登壇は一切せずに収益を上げる」「報酬が○○万円以下の仕事は受けない」…など、これまでの延長線から一歩離れた選択肢を考えみる。

大切なことは、無意識の思い込みから自由になることです。これによって、これまで見えていなかった新たなビジネスチャンスが浮かび上がる可能性が実際に高まります。

特にサラリーマンの人は、「仕事をして給料をもらう」という考えが強く染みついている、というよりもはや、呼吸するくらいに普通に生きる方法となっており、疑うことすらしない「当たり前の前提」となっていたりします。

しかし、コンサルタントに限らず、独立してビジネスを始めるとなれば、「売ってお金を得る」もしくは「お客様から価値を評価されて対価を得る」という商売の本質に否応なく直面することになります。

語弊を恐れずに申し上げれば、サラリーマンの「指示を受けて行動する」という無意識の前提が抜けない限り、独立後も単なる作業者としてしか動けなくなる訳で、いつまで経っても自主自尊の商売とはならず、収益は上がらず、ビジネスの飛躍には程遠いということになりかねないのです。

ちなみに、家族が健康でいてくれているとしたら、それだけでも一つの奇跡と思ったほうがいいでしょう。この奇跡が少しでも崩れたとき、ビジネスに力を投入できる有難みを心底感じることになります。忙しい日々の中でつい見過ごしがちですが、これも無意識に当たり前だと感じてしまう「前提」だったりします。

言うまでもないことですが、家族が健康でいてくれるからこそ、ビジネスに集中でき、全力を出せたりします。こうしたことに感謝し、自分がどれだけ挑戦できるかを厳かに考えてみるとき、この奇跡のチャンスの本当の有難さに気づくことができると思います。そう、思っているよりチャンスはそれほどない、ワンチャンスかもしれない…と。

そうした「新しい前提」に立つとき、来年、あなたはどんな挑戦をしますか？
無意識に抱えている「普通の延長線思考」を払いのけ、新たな視点でビジネスに取り組む準備をしていますか？