がんばれコンサルタント! 第192話:コンサルタント業における、「専門性」と「お客様」の関係
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「ゴトウさん、自分は資格を一つも持っていません。会社も大学卒業してから一社だけで、営業ばかりやってきたのですが…」── 先日、ご相談にお越しになられたコンサルタント起業を考えられているという方のお言葉です。
弊社には、様々な方がお越しになられますが、いつも申し上げていることがあります。それは、「習ったことはお金にならない」ということです。
これは、あえて言葉をきつく表現していますが、もう少しやさしく言えば、「どこかで習ったり覚えたことを教えようとしても、それではコンサルタントとしては難しいですよ」ということです。
何を申しあげたいかと言えば、世の中的には、「この資格があれば…」とか、「分析する方法」「ここが要点やポイント」…といったことを、まさに必死になって学習する傾向があり、「教える材料を学べば先生になれる」と思われているフシがある、といういうことです。
しかし、どれだけこうしたことを学習しても、塾の先生やセミナー講師になることはできても、経営の現場で本当に実務指導できるコンサルタントになれるかと言えば、残念ながらそうはならないところに現実の厳しさがあるのです。
理由は実に単純です。「どれだけ学習したとしても、自分のお客様のことを知らなければ商売にならない」からです。
教室で学ぶ本や資料、ホワイトボードから得られる情報は、それは確かに知識やノウハウとして優れたものであることには違いありません。しかし、はっきりしていることは、そこには「一般論しかない」ということです。
ビジネスとはどこまで行っても、お客様が支払ってくれるお金と、自分が提供する価値との相関関係で決まってきます。このバランスが崩れると「働いているけれど全然儲からない」か、「お客さんが全然来てくれない」かのどちらかになる…ということです。
この最適な解を探すところに難しさあるのですが、ここで最も重要なことは、「自分のお客様のことをどれだけ理解しているか…」ということです。お客様のことを知らなければ、「価値を提供する」と声高に叫べど誰にも響かず、結局値段を下げに下げて「使ってもらう」くらいしか現実の対処方法はなくなる…からです。
こういうと、「そんなことくらい分かっている。お客さんのことくらい、ちゃんと知っている!」と反論してくる人が時々います。しかし、得てしてこういうことを言ってこられる人に限って、自分で獲得したお客さんなどほとんどなく、あてがいぶちに回してもらったお客さんしか知らないというケースが大半です。
このため、「経営者がお客さんだ!」といった、ハッキリいって答えになっていない答えしか返ってこなかったりします。一般的な顧客像などどうでもよく、あくまでも自分のお客様のことを知らなければ、ビジネスが立ち上がることはありません。
つまり、「自分のお客様ならではの具体的な特徴」、「お客様がよく考えていること、口にすること」、「お客様が間接的に望んでいること」、「お客様が選択する傾向値」、「AとBならAを選ぶ確率が高いけれど、その理由は…」、「10人のお客様がいたらその比率は○対○対○…で、そのイメージ像は…」…などなど、感覚的に独自に捕らえているかどうかこそ重要なのです。
優れた経営者は、自分の会社のお客様像をありありと表現されます。自社のお客様のことを本当に知れば知るほど、そのお客様に最適な商品やサービスを提供できるようになるからです。この結果、ますます専門性が高まり、強い企業へと成長していくことになります。
一方、自社のお客様のことをよく理解していない企業ほど、他社への差別化や強みを表現することが難しくなり、結果的に「価格勝負」にどんどん陥ることになります。
企業としての規模や行っていることに違いはあっても、コンサルタント業もビジネスの一つだということを、何か横に置いて忘れている人が余りにも多いのです。
コンサルタント業として、大いなる成長を考えるのであれば、知識やノウハウも大切ですが、最も重要なことは、お客様のことを、誰よりも考え、熟知しているか…こそ重要ということは、余りにも当然ということです。
このためには、どういったお客様のために何を提供するのか、具体的な専門性や特徴は何なのか…、そうした一つ一つの重要なことをしっかり決めていき、自らのコンサルティングを体系化することが、何よりも大切だということです。
この土台づくりがなければ、「一体誰にコンサルティングをするのか?」という、クライアント不在のコンサルタントになり、何の特徴も持たない価格勝負だけの人になりかねない訳です。
そういう意味では、冒頭の営業畑一筋だった方、職種や業種は違えても、こうした会社の現場で一生懸命にがんばってこられた方には、独自の潜在的能力が宿っている可能性は極めて高く、本当の意味で専門性を打ち出すチャンスが大いにあると言えるでしょう。次はあなたの番です。
あなたは自分のお客様のことを、本当に知っていますか?
自分のお客様のために、ノウハウを体系化していますか?
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