がんばれコンサルタント! 第223話:コンサルタントが押さえておくべき「弱点」についての発想

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二流は弱点を、コンプレックスにする。一流は弱点を、チャームポイントにする。

 

「ゴトウさん、これからコンサルタントとして独立することを考えているのですが、どうしてもひっかかっていることがありまして…」── 書店でコンサルタント起業の関連本を買いこまれ、「コンサルタントのためのキラーコンテンツで稼ぐ法」に感銘を受けられたとのことで、ご相談にお越しになられた方のお言葉です。

こうした、「いろいろなコンサル関連本を読んだ中で、これだと思って来ました!」という方は、結構多いパターンなのですが、特徴としては、自分のこれまでにやってきたことを活かして、夢や人生を拓いていこうという、積極性がにじみ出ている方々です。

しかしお話を伺っていると、どうも来られる直前に、周囲の人に何か吹き込まれたらしく、「資格を取る必要性は?…」など、どこか不安気な表情。例えるなら、前に向かって走ろうと思っているけれど、紐か何かが引っ掛かって上手く走りだせない感じ…といったところでしょうか。

せっかくご相談にお越しになられて、引っ掛かったままお返ししては申し訳ありませんので、「何かご心配にされていることがありましたら、ご遠慮なくご質問ください。ここで伺ったことは、一切口外することはありません。ご安心ください」とお伝えしたところ、ようやく胸襟を開いて、ポツポツと話しだされました。

何か引っかかっていた…というのは、以前から気にしていたことがある…と。いわく「わたしは、色々な事情があって○○大学を中退しているのです。でも、社会に出てひたすら頑張って、営業成績を出して生き抜いてきました。営業・販売の分野では、数字を出す自信がありますし、企業や社長さん方のお役に立てる自信もあります」…と。

続けて伺っていますと…、「それが、起業するに際して、知人に相談したところ、“コンサルタントやるのに、大学出ていないなんて話にならないよ。せめて何かの資格でも持っていないとダメでしょう”と言われてしまって…」と。

伺えば、その時の相談には他の人もいたそうですが、意見はほとんど一緒だったため、ますます悩みが深まってしまい、学歴コンプレックスがグルグル頭を回っている…とのこと。

なるほど、これは言わせてもらえれば「相談してはいけない人にうっかり相談してしまった」という典型的なケースと言えるでしょう。誰でも相談するなら「親しい人」にしてしまうもので、そこには「その道のプロ」とか「専門の人」に聞くということが、忘れられがちです。

しかし、このミスは、致命傷になりかねないほど、大きな痛手を被ることがあります。素人の何気ない一言で、大きなチャンスを逃してしまうどころか、せっかくの特徴を無くして凡人と肩を並べようとしている、と言えるほど馬鹿げたミスだからです。

なぜ馬鹿ている…のかと言えば、そもそも論として、「弱点と欠陥を混同している」のがまず問題です。

欠陥とは、根本的な問題であり、何かを行うのに際して支障を来したり、問題、致命傷なるレベルを指します。

例えば、「偉そうにしか日本語が話せず、クレームばかり起こす」とか、「手紙を書いても、何を書いているのかサッパリ分からない」、「何度注意しても、遅刻や欠勤が直らない」…といったレベルのものです。

一方で、「弱点」とは、ある方面から見れば問題であっても、別の角度から見れば特徴とも言える? といったものです。

例えば、一般的に「土地」は平できれいな四角形をしている方が、断然値段がつきやすくなります。いびつな形や斜面の土地、変な岩が突き出ている…といったことがあれば、減点対象であり、値段が下がります。

ところが、腕のいい建築設計士が関われば、この変った土地のその癖を活かして、たとえば突き出た岩を上手に家の一部に取り入れて家を建てたり、L字に狭く変形した土地を活かして隠れ家的建物にしたり…することで、むしろ他に無い魅力を作り出して、価値を高めてしまうことがあります。

画一的なものは、確かに安心感はあるかもしれませんが、その他大勢と同じで何も面白くもなければ魅力もありません。特徴や良さというのは、むしろ弱点の近くから生まれてくる…というのが本質です。

弱点が悔しくてがんばる…ということもあります。乗り越えたくて他の手を考えたりするかもしれません。活かして何とかすることもあれば、新たな発想に行きつくこともあります。

弱点を「欠点」と捉えるか、「特徴」と捉えるかで、結果は大きく変わってきます。その道の一流、プロと呼ばれる人達は皆、世間一般では弱点や欠点と思われるものを克服したり、特徴と捉えてむしろ「チャームポイント」や「アクセント」にまで昇華させています。

「学歴が無い」のは、決して欠点ではありません。誰かが決めたレールの上で、大勢の人と競争を強いられるのであれば、それは弱点かもしれませんが、ことビジネスの世界で商売繁盛の勝負をするのであれば、むしろそれは「特徴」と言えるかもしれません。なぜなら、「学歴が無くても売れる方法」というのは、その他大勢の営業関係者に対して十分、驚異となりうるからです。

「方向音痴の人がメモ書きした、とにかく簡単に覚えられる道案内」
 「本が苦手な人が編集した、とにかく分かりやすい本」
 「英語が苦手な人が教える、商談で使える簡単英語」

などなど、弱点を乗り越えて、特徴としたときには大きな魅力になってくることがあります。その境目とはズバリ、弱点に自分が負けているかどうか…ただその一点だけです。

優れた経営者、リーダー、その道の一流…の方々は、総じて独特の魅力を醸し出されているものですが、中でも興味深いのは、「私は○○がダメでしてね…」といった、ちょっと茶目っ気とも言えるような感じで、弱点を披露されることが多いことです。

人は誰でも、完璧な人を見ると何か近寄りがたい感じを覚えますし、自分とは違う…と距離を置いてしまうものです。

譲れない大事な専門分野であれば、完璧を目指すのはある意味当然かもしれませんが、少しズレた部分や直接関係ない部分に関しては、むしろちょっとくらい弱点があるほうが、魅力やチャームポイントになる…と言えるでしょう。

もしあなたにコンプレックスがあるとすれば、それは将来、ビジネスを成長させ、夢を実現していく過程で、あなたの魅力を底上げしてくれる貴重な財産、材料になってくれるかもしれません。

あなたの弱点は何ですか? あなたは、弱点をコンプレックスのままにしますか?
 次の一歩を踏み出して大いなる成長の中で、チャームポイントにしていきますか?

 

著:五藤万晶

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