がんばれコンサルタント! 第99話:一流コンサルタントと、二流コンサルの言葉の違い
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第99話:一流コンサルタントと、二流コンサルの言葉の違い
「コンサルタントとしてやっていくときに、何か特別に重要なことってありますか?」── 先日弊社のコンサルティングを受けられ、これからいよいよスタート開始、というメンバーの方からの質問です。
コンサルタント業を順調に伸ばしていくために、知っておかなければならないこと、身につけておくべきこと、押さえておかなければならないこと…など、重要なことはたくさんありますが、これからスタートという実に大切なタイミングでのご質問です。
コンサルタントとして、本当の一流を目指していただきたいという想いをこめて、「必ず自分の頭で考え、自分の言葉で語っていってください」…とお伝えしました。
自分で考えて話せばいいんでしょう? と、簡単そうに聞こえるかもしれません。実際、弊社のコンサルティングを受けにお越しになられた方々には、最初に必ずお伝えしている言葉なのですが、ほぼ間違いなく皆さん、「はい、分かりました!」と笑顔で答えられます。
しかし、この事がいかに大変かは、ご自分のコンサルティングを体系化していく中で、否応なく経験いただくことになります。
何が現われてくるのかと言えば、ズバリ、他人の知恵、他人のノウハウ、つまり「借り物の言葉」です。自分独自のコンサルティングをまとめていくのに、そこに他人の言葉が出てくるとしたら…。怖いことに、自分ではなかなか気づかなかったり、指摘されてはじめてそのことに気付く人が本当に多いのです。
もちろん、現代社会において、一から完全にオリジナルで生み出した…という知識やノウハウというものなど、まずあり得ないでしょう。誰でも生まれたときには何も知らない赤ちゃんだったわけですから、人生の大半は学びに学んで得た知識やノウハウに違いありません。
しかし、単に他人の言葉を表面的に真似て話をするのと、自分の頭で本当に考えて、咀嚼して自分のモノとして完全に理解して、そして自分の言葉になった上で発信しているかどうかは、天地雲泥の差ががあります。
極端な話、前者はテープレコーダー(表現が古いですが…)でもいい訳で、何もその人から習ったり聞いたりする必要はありません。替えはいくらでもいる訳です。
そして、もっと問題なのは、他人の言葉や知恵をパクッておいて、さも自分のモノらしく装っている場合です。ウェブサイトやセミナー、メール配信などにおいて、他人の言葉や知恵を堂々と自分のもののように発信している人がいます。ここまでくるともはや二流どころか…という状態です。
先日も、フィリピンだかマレーシアだか、そっち方面で培ったノウハウを教える…と称するコンサルタントが、「メール配信しているのでぜひ取ってくれ…」というので手続きしたのですが、内容を見て、本当にがっかりさせられました。
一行見て、「あっ、パクリだ」と分かったからです。
いくらなんでも、一行みただけでは…と思うかもしれませんが、自分が編集した本なら一瞬で分かります。パクッた側には分からなくても、文字通り、「脳味噌が溶け出すようなな思いをしながら、著者と一緒になって紡ぎだしてきた言葉による一行」だからです。
私は前職で、20年以上にわたり編集者をしていましたが、そこでは著者が何十年もかかって編み出してきた知的ノウハウを、読者である経営者に届けるために、本当に苦労しながら文字にしていく仕事をしていました。
著者のノウハウを活字にする…。言葉では簡単な一行です。しかし著者自身も言語化できないような感覚的なことを、どうにかして活字として表現するということは、想像以上に大変なことなのです。
実際、著者と3か月以上、長い時には一年にもわたって何度も何度も話をして、「この先生がいう○○という言葉には、こういう意味が込められている」とか、「この先生は、こういう言い回しはせず、こんな感じの表現を使う」、「選択判断の感覚的なモノを図形的に示すとしたら…」、「人生をかけて伝えたい言葉が○○に集約されている」…など、変な言い方かもしれませんが、著者の頭の中に入って自分の脳みそと同化させるほど、真剣に著者の思考に近づこうとしました。本当の意味で独自性のあるノウハウを経営者に伝えたかったからです。
このため、同じ時期には一人の著者、一冊の本しか手掛けられない…という実に不器用な編集方法をしていたのですが、それほどまでに「独自性」ということを重要視していたのです。
これは、前職の会社、日本経営合理化協会を創立した牟田學理事長の強烈な教えであり、事業哲学として強く提言されています。本当に大切なことを教えていただいたと改めて深く感謝しているのですが、いずれにしろ、自分が編集に関わった本や言葉には、それだけ強烈な時間と想いが詰め込まれている訳です。
そもそも論として、「その言葉・フレーズは、その人だから意味をなす」ということが大半です。偉大な経営者が、「経営とは○○である」という言葉を発したとき、多くの人が感動し、深い教えに頭を垂れるのですが、そこらの何の苦労も実績もない二世経営者が同じ言葉を使っても、周囲は感動どころか、むしろ馬鹿にします。その人の言葉ではないことがすぐに分かりますし、パクッた言葉を偉そうに発する人など、誰も尊敬しないからです。
ですから、メールを取ってくれ…と言ってきたこの自称コンサルタントは、こちらの前職が何をしていたかも調べず、そしてこともあろうに五藤が編集した本をバクり、そしてパクッていることに罪悪感を感じないのか、さもなくばバレないとでも考えているらしく、毎日のようにパクった内容のメールが届きます。その人らしくない言葉のオンパレードの文章は、ある意味「痛いメール」の見本のようなものです。
呆れて物も言えないとはこのことですが、どのみち、こういう程度の低い人物は遅かれ早かれ消え去っていきます。
理由は単純です。自分で真剣に考えたことがないコンサルタントは、応用力もなけえれば深く思考するという負荷に、脳みそ自体が耐えきれないのが最大の問題です。どこかにすぐに解を求める癖がついているため、少し負荷がかかっただけでショートしてしまうのです。未知なる問題を前にしたとき、まったく役に立たないことは言うまでもありません。
実際、相当有名なコンサルタントと称している人でも、実力の高い企業から依頼が来ると、自分の専門分野にも関わらず、様々な理由をつけて断っている人がいます。化けの皮がはがれてきて、すでにコンサルタント仲間からは馬鹿にされている人がいますが、参考書に書いてあるレベルで済む問題なら、わざわざコンサルタントを呼ぶ必要などまったくないのです。
本物の売れるコンサルタントになるためには、己のコンサルティングを確立することは本当に大切なことです。そのためには第一原点として、自分の脳みそで必死で考えることから始まります。そして自分の言葉で語るとき、初めて経営者が振り向いてくれるのです。
弊社は、厳しくも、本物の道を歩みたい…という方のお手伝いをしています。お越しになられた方々は、「こんなに必死になって考えたことはいつ以来だろう、本当に脳味噌から汗が出てくるような感じ…」といった感想をよく口にされます。
コンサルタントと名乗るなら、二流やまがい物ではなく、棘の道でも、ぜひ本物を目指していただきたいと思います。
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