がんばれコンサルタント! 第353話:コンサルタントが押さえるべき、業績不振に共通するたった一つの考え方

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「ゴトウさん、最近反応が今一つになってきていまして…」── 先日、コンサルタント仲間で一杯やっていたときにでてきた話題の一つです。

なんでも、書いているコラムや送っている案内の反応が、どうも今一つパッとしなくなってきていて、どう対処していこうか…と。

この手の悩みと言いますか、思うような状態にならない、もっと言えば改善が必要…というような話は、商売をやっていれば当然のようにつきまとってきます。

よく、コンサルタントは、営業とかをしなくてもいい…と壮大な勘違い? をしている人がいたりしますが、残念ながら、それは問屋が卸さない話です。

簡単に言えば、コンサルタントという仕事を、さながら勤め人がごとく、どこかに従属して仕事をもらう体制でいいというなら、自ら営業することはほとんどしなくていいでしょう。ただし、値決めに始まり、あらゆることは従属の身ですから、当然自由は大きく制限されます。

一方、自ら本当に自由な状態で、そして自分独自のコンサルティングを展開していきたい…と考えるなら、これは自ら商売をする=営業とセットということを正しく認識するしかありません。要は、コンサルタント業も普通の商売の一つにしか過ぎない、ということです。

話が変わるようですが、ときどき新聞などで、あの会社が? と、驚くような業績悪化や、時には身売りや事実上の倒産のような話がでて話題になったりします。先日も、一時期業界トップにもなったことがある、老舗の飲食チェーンが債務超過に陥ったと報じられていました。

業績が悪いというのは事実ですから、それはそれで致し方がない事です。嫌なことですが数字でハッキリでていることですので、経営陣も認めざるをえないでしょう。問題は、「なぜそうなったのか…」という理由をどう考えているのか…という点です。

よく、「競合が出店してきたから」とか、「ライバルの攻勢により」、「景気が悪くなって」、「原材料のコストが…」「インターネットの普及で買い方が変わって」、「スマホに取られて」…といった、業績が悪化した「もっともらしい」理由が述べられたりしています。

もちろん、それらの理由がまったく影響していない…などと申し上げるつもりはありません。重大な影響を与えていることは確かでしょう。しかし、それとは別に、もっと大きな、極めて重大な問題がある…ということです。それなくして、商売の復活はありえないからです。

それはズバリ、「すべての問題点を外部にすり替えている」ということです。言ってしまえば、「自分側がすべきことに焦点があっていない」という、致命的な問題を抱えていることに気づいていない…ということです。

競合店が出店してきてとかネットやライバルが…というのは現象面に過ぎず、それそのものは本当は理由になりえないことです。なぜなら、では他のお店もすべて業績悪化でつぶれていますか? コストがあがって他の会社もつぶれてますか? ネットやスマホは他社だけしか使えないのものですか? ということです。

先に、問題点に気づいていない…と述べましたが、現実には「気づきたくない」「気づかないようにしている」「何がなんでも気づかないフリをする」…と言ったほうが正しいかもしれません。

様々な複雑な理由を持ち出しては、新聞などに理由が掲載され、時には株主に説明がされ、そして銀行などにも説明がされていたりします。共通点は、どれも「お客様でも取引先でもない相手」ということです。

ちょっと考えればスグに分かる話です。それ本当の理由ですか?と。実際、お客さんに訊いてみれば一瞬で分かることです。「だって美味しくないから…」以上だったりします。

なぜ世の中、こんな極めて単純に分かりそうなことを、どうしても理解したがらない、もしくは「ややこしく」理由を説明したがる人が多いのか…。

理由は単純です。シンプルに考えるとき、そこに出てくる答えとは、恐ろしいまでに冷酷だったりする…からです。あまりの辛さに、これを認められる人というのは、世の中、極めて少数派なのです。商売、ビジネス、経営をしている人…など、冷静に判断できそうな人でさえ、認めることに大きな抵抗を示します。

ただし、どれだけ非情で辛いことであったとしても、これを認めて、商売をやっている側が変わらない限り、絶対に好転することはありません。これまた理由は単純です。いかに外部に理由を求めたところで、何も好転しないし、仮にそれらの本質的でない理由に対処したところで、それらは枝葉末節の改善に過ぎず、商売の根幹が強くなっていくことには遠く及ばないからです。

重要なことは、「お客様に指示命令することは絶対にできない」という当たり前といいうべき原理原則に、忠実に則ってビジネスを行っているかどうかです。

お客様は自分の好きなように考え、好きなところを選んで、好きなように動くのです。自分がどのように物を買ってサービスを利用しているかを考えれば、スグに分かるはずなのですが、自分が商売をやる側になると、驚くほど自己中心的に考える人が、世の中無茶苦茶に多いのです。

その典型が「顧客は自社のもの」という考えです。客離れや、何か不振が起きたとき、自分は悪くなく、離れていった客が悪い。そうでなければ取っていったライバルが悪い…といった考え方です。

当然ですが、そこに本質的な答えなどあるはずもありません。本質の答えは極めてシンプルです。冷酷なまでにシンプルです。しかし、これに応えるためには極めて深く考える必要があり、極めて忍耐と努力を要するのです。

一方で、枝葉末節の理由を持ち出すのはいかにも簡単です。パッと適当に考えて「言い訳」的に出せる程度の浅はかな理由です。しかし思慮浅い一時的な対策で、根本が変わることなどなく、ビジネスが強くなっていくことは決してありません。

その先に何が待っているか…。自社が提供している商品・サービスに強みや魅力がなくなれば、顧客は他にいくだけであり、業界トップ企業であっても倒れてしまう…という厳しい現実が待っているのです。まして体力のない企業であれば、どうなるか…。

コンサルティング業でも、商売である限り同じです。自分が提供する商品・サービスに魅力がなければ、当然ながら競合との激しい価格競争に巻き込まれます。やっていけなくなります。

そもそも、コンサルティングという商品に強みがなければ、そして強みを磨いていかなければ、自分を指名してくれる理由をつくって維持していくことは、極めて困難になることは、誰にも分かることです。

この時、あなたは小手先の対応を考えますか? それとも本質的な対応を考えますか?

あなたが長期的な成長発展を目指すとき、自ずと答えは定まると思います。そしてその思考こそが、コンサルタントとして、企業を本当に助けていく原動力となるのです。

あなたの商品は輝いていますか? その輝きを磨く努力をしていますか?

 

著:五藤万晶

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