がんばれコンサルタント! 第355話:コンサルタントが知っておくべき「本当に強くする」ときの原理原則

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「ゴトウさん、知人から一緒にやらないか…と誘われているんですが、どうも気になあることがありまして…」── 先日、ご相談に事務所にお越しになられた、これからコンサルタント起業をされようとしている方のお言葉です。

なんでも、起業に際して一緒にやれば、2倍の力になるから上手く行きやすくなる…と知人から誘いの言葉を受けているそうですが、自分の中に何か引っかかるものがあって…とのこと。

なるほど、ある意味よくあるパターンの話です。誰でもそうですが、起業というような未体験の方向に進もうとするとき、これに不安がないと言えば嘘に違いないでしょう。

上手くやっていけるかどうか…、本当に大丈夫なのか…、失敗したら…、考え始めたら不安が増すことはあっても、安心できる材料など、ほとんどない…。このとき、「一緒にやろうよ!」の誘いは、本当に心が安堵し、嬉しかったりするものでしょう。気持ちはよく分かります。

ただし、冷静に考えれば、未知のことに対して「安心できる材料が充分ある」ほうが不思議というか、危険…とさえ言えます。安心できる材料があるということは、それはもう世の中的に普通になっているから自分が知っている…ということに気づかなければならないからです。

それは分かったけど、でも組むのはいいでしょう…という反論もよくいただきます。もちろん、全部が全部、組むのが悪いなどとは申し上げるつもりはありません。しかし、必ず一つ質問しています。「では、あなたがお客さんを全部集客できるとして、その方と組みますか?」…と。

余計なことは何も訊いていません。いつもこの質問だけです。ただし、驚くほどといいますか、もう思わず笑ってしまうほど、返ってくる答えも、いつも同じです。それは、ズバリ、「自分でできるなら、組む訳ないじゃないですか!」…というもの。

自分が言っている意味を、本当に分かっていますか…?(笑) という感じなのですが、この言葉が意味していることは、要は「自分は弱いから、助けてもらおう」と言っている訳です。

ちなみに、間違いなく言えることは、相手も同じこと考えているということです。少し考えれば分かる話です。相手も、「自分でできるなら、あなたと組む訳ないでしょう!」と思っているのです。

当たり前ですよね? 自分にだけ都合がいいことが起きるとしたら、それこそオカシイ話ですが、不安からくる思考力が弱い状況になると、こんな易しいことも分からなくなったりするから怖いのです。

ですから、この二人が組むとしたら、「双方の依存心によって組まれる」ことが分かります。一方が断るときは、間違いなく「自分でやる、やれるようになってやる!」と考えるから、成立しない訳です。

これは1対1だけの話ではありません。何を意味するか…と言えば、「弱い者は、弱い者と集まりたがる」ということです。恐ろしいことに、この作用は、社会の中で実に多く見受けられる点です。

本当に強いものは、魅力や良さといった「重力」を増して「引き寄せてくる」ことで、より一層、強さを発揮するという本質があります。さながら強い天体が、周囲の星々を引き寄せてより一層強く大きくなるのと一緒です。

強い会社、ブランド、商品、人物…などを見れば、強い魅力によって引き寄せて、ますます強く、大きく、力を発揮していくようになるのが分かります。重要なことは、この「重力を増すために、何をしなければならないのか…」ということです。

弱い者が集まる…ではありませんが、力を失うパターンは、いつも同じです。何の理念も考えも、想いもなく、ただ単に寄せ集め的に「数を集める」という手法を取るとき、「重力がない」ために、引き寄せる力はなく、言葉は悪いですが、単なる「ゴミ貯め」ができあがることになります。

そもそも、他人がつくったモノにあやかって、単に寄せ集めて数にしようとしているのですから、力が無いのは当たり前のことです。

まさに烏合の衆とはこのことで、人数が多い組織でも、単なる寄り合い所帯であれば、売上利益をあげることはもちろん、具体的に何も実行する力がなかったり、せっかく数が集まっても何もできない…といったことは、まさにこの「重力」の無さが災いしている典型です。

一つの事業が、その重力を高めて派生的に関連事業をつくりだし、さらに重力を高めていく強い企業があります。そこには独自の強い想いや考え、コンセプトなどがしっかりとあり、それに共鳴する顧客が生まれ、重力によってその数が増していきます。

一方で、その形だけを追いかけて、M&Aや単にみてくれの関連事業をもってきて大きさを誇示しようとしても、そこには強い重力などないために、単なる寄せ集めの企業体にしかならない…ということが起きてしまいます。

ビジネスでも政治でも経済でも、コミュニティーでも、強くなるところと力を失って消えていくところの差は、まさにこの重力に対する考え方にあります。

当然、コンサルタント業という一人でやることが多いこの仕事でも、最初は実に小さな重力であっても、必死に自分の強みに磨きをかけ、それを人に知ってもらう、使ってもらう…といった努力を重ねることで、少しずつ重力を強めていくことができます。

この最初の重力をつくりだすことこそ、コンサルタントが本来やるべきことであり、それこそが、自分独自のコンサルティングをしっかり確立させる、体系化する…ということに他ならないのです。

人がやっていることを真似たり、ヨソの領域を足し算がごとく「手広く」とやればどうなるか…。エネルギーの分散、そして寄せ集めという戦略の無さは、事業が小さいほどより悪影響を受けやすいということを知らなければなりません。

重力が高まることで、そこに「独自の市場」や「独自の世界」「独自のコミュニティー」というものが出来上がっていくことになります。寄せ集めの場所には、何ひとつ独自性が無いのと、まさに対照的なのです。

そして最も重要なことは、コンサルタント本人が、こともあろうことに、この重力に対する正しい考えを持たずに指導するとしたら、そのクライアントは一体どうなるのか…ということです。

あなたは、自分のコンサルティングの強み、魅力を高めるために、そして重力を増すための活動を行っていっていますか?

 

著:五藤万晶

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