がんばれコンサルタント! 第410話:ビジネスに向く人、向かない人を一発で見抜く法
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「ゴトウさん、いよいよ世の中ややこしくなってきましたが、先日行ったクライアント先のオンライン会議でもややこしい状態になってきてまして…」── このコロナ禍の中でも、連日クライアント指導で忙しく活動されているコンサルタント仲間のお言葉です。
全国的に自粛要請ということに加え、先方のお会社さんが遠方ということもあり、オンラインミーティングツールを使って会議にオブザーバーとして参加されたとのこと。
なんでも、この会議では、ゴールデンウィーク明けから開始予定だった「あるプラン」について討議をしていたそうですが、「緊急事態宣言の延長が濃厚」ということから、話がややこしくなってきた…というのです。
何がややこしく…かと言えば、実に中途半端に「問題提起やマイナス面だけの指摘」をして会議をかき乱す人がいて…とのこと。
なるほど、なかなかやっかいな問題です。マイナス面の指摘そのものは、決して間違いではありませんし、何の調べもシミュレーションも無しに、ただ勢いで進めれば、これは失敗確率が増大するだけに、しっかりとしたマイナス面把握は重要です。
しかし、世の中面白いというと語弊がありますが、自分の安全を守りたいがために、さも賢そうにマイナス面を誇大に論じたり、臆病さを隠すために知的ぶって誤魔化そうとしたりする人が、現実にたくさんいる…ということです。
これが、完全に個人的なことであれば、「どうぞご勝手に」で済む話なのですが、ビジネスや経営の話となれば話は別です。どれだけ怖くても、「決定」していかない限り、ビジネスは確実に終わりに向かってしまうからです。
この手の話をしたときに、「そうは言っても、間違った決定をしたら大変でしょう!」などと、口角泡を飛ばす勢い(時節柄やめてほしいですが…笑)で言ってくる人がいたりしますが、お返しする言葉は実にシンプルです。「また変えればいいじゃないですか」です。
間違った、失敗したと分かったら「変えればいい」だけの話です。たったこれだけの話です。一番恐ろしいミスは、「判断しない」「決定しない」「先延ばしにする」…ことです。判断ミスかどうかも分からず、永遠に取り返せない時間だけが過ぎ去るからです。
もちろん、正しい判断や打ち手というのが良いに決まっています。しかし、すべて正しい手を打てるかどうかなど、全知全能の神様ではないのですから、100%の正しさで手が打てる人など、絶対にいるはずがないのです。
ところが、世の中にはこの手の思考回路の人が結構多くいます。「ゼロリスクでないとダメ」、「全員に等しくなければダメ」、「100%確実でなければ」…といった症候群の人たちです。
批判覚悟で申し上げれば、与えられたポジションを手放したくない人、能力はそれほどだが努力もしたくない人、安定思考がしみついているという人…などが典型例ですが、こうした人たちは、「ほぼ無意識に僅かなリスクでさえ極端に嫌う」傾向があります。
このため、自分は責任を負わないようにしながら、何かリスクのある問題に対して、「問題点やマイナス面、危険性…の指摘」ということを絶妙にします。何かあっても「自分は問題を指摘した」と…。しかし、本当にやっかいなのは、これらが一見、「賢そう」に見えることです。
会社などで、役職者の人などが、「このプランには、こういった問題点やマイナス面があるから、よく考えてからでないと…」などと話すと、不思議なもので「なるほど…よく考えているな…」などと、思われがちですが、冷静に考えれば、「何も言っていない」ことは、本当に経営をしている人からすれば、一発で分かることです。
こうした言葉はたくさんあります。「この点は考えたのか?」「今やるのは、いかがなものか」「本当に大丈夫なのか?」「誰が責任をとるんだ?」…などなど。要するに、実は何も言っていないことが透けて見えてきます。
簡単な話、こういう人には、「リスクは分かった、それで、どうするんだ?」と訊いてみれば、どの程度のものか一発で分かります。
「いや、だから…」とゴニョゴニョ言い出したら、「本当に打ち手など、全然考えていない」ことがハッキリします。難しい中をどうするのか…、易しい経営などどこにもありません。よく、「対案もなく反対だけするな」ではありませんが、「これは問題だ」「危険性がある」「心配だ」…と言うだけなら小学生でもできる話だからです。
もちろん、判断や決断、実行にはリスクがつきまとうだけに、深い悩みに襲われます。しかし、その恐怖に負けて単に臆病になったり、「問題だ…」の話にうっかり乗って、判断や決断を先延ばしするとしたら…。
経営は、どこまでいっても、「どう手を打つのか?」の連続です。これから逃げるとしたら経営放棄ですし、リーダー失格ということです。何かを行うことに対して、完全にリスクゼロとか、100%安全というものがあるとしたら、それは完全なる後追いを意味しているからです。
タイミングを逸しての実施の頃には100%「時すでに遅し」となり、出遅れただけならまだしも、時と場合によっては会社が潰れます。新事業や起業でも同じです。まさに後悔先にたたず…になってしまいます。
本来なら、この意味不明なブレーキをかけた人に責任を取らせたいところですが、ちなみに問題点を指摘した人は、「自分は、問題点を指摘しただけ」と、のらりくらりかわすだけです。そう、最初から責任など取る気もさらさらないからです。
そもそも、責任を取る気もないような人の意見に耳を貸したほうが問題なのですが、重要なことは、ビジネスにおいては批評や評論…など、どうでもよく、もっと言えば「いい意見」でさえ、「実施を伴わないのであれば寝言以下」ということです。
これは、コンサルタント自身のビジネスにおいても、まったく同じことが言えます。どれだけ綺麗な経営論やマーケティングを語っていようが、要するに何も変えていない、変わっていないとしたら、大いなる危険性をはらんでいるということです。
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