がんばれコンサルタント! 第453話:「自分を売り込め!」に対して、コンサルタントが正しく理解しておくべきこと
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「ゴトウさん、今までずっと疑問に思っていたことが、やっと腑に落ちましたよ」── 先日、セミナーにご参加された後に、弊社事務所にご相談にお越しになられた方のお言葉です。
数年前にコンサルタントとして仕事を始めたそうですが、営業面でかなり苦戦されていて、ウェブ施策や営業方法などについて、いろいろ試しているが、思ったような成果につながっていないとのこと。
要は、コンサルティング契約になかなかつながらない…と言う話です。いろいろお話を伺っていたのですが、その中で気になったのが、「自分を売るための努力」を一生懸命にされている…点です。
いわく、ある営業系の先生から、「営業は、自分を売ることから始まる。自分を信用してもらわなければ買ってもらうことはできない!」…と指導され、日夜、そのことを考えて、ビジネス系の出会いの場に行っては自分の売り込みをがんばってきた…と。
お話を伺いながら、思うところは色々あったのですが、回りくどくなってもしかたがないので「ところで、ご自分のコンサルティングでは、何を提供されているのですか?」単刀直入にご質問することに。
「えっ?」という声とともに、顔色が見た目でもハッキリと変わりました。「なぜ、そんなことを訊くのか?」というのが一瞬にして読み取れるほどで、部屋の空気感まで変わったというと大げさに聞こえるかもしれませんが、それほど「触れて欲しくない部分」の問いだったことは間違いなかったのでしょう。
断っておきますが、「自分を売り込め」に対して、そんなことは間違っている…などと申し上げるつもりはまったくありません。
人間関係はとても重要です。信用できない人から買うのは躊躇しますし、気心しれた安心できる人からのオファーであれば、ずいぶん財布もゆるくなりますし、言葉足らずであっても「何か事情でもあるんだろうな…」と余計なことを言わずに協力することだってあるでしょう。
言うまでもなく自分を信用してもらうことは、極めて重要です。世の中どこまでいっても、最後は人と人のつながりであり、交わりだからです。
ネットやIT、テクノロジーにどれだけ詳しくても、この根底の部分が分かっていないと「機械的に売れる=機械が買ってくれる」という、壮大な勘違いが始まっていきます。
買ってくれるのは、どこまでいっても生身の人間であり、その人の判断や感情によって左右されるのです。相手が法人であろうと一緒です。判断を下す人がいて購入が決定されています。動物でも一緒です。その動物を飼っている人や、管理している人が判断しています。冷静に考えれば、余りにも当然のことでしょう。
だからこそ、「人として信頼を得る=自分を売り込め」は、至極当然のことであり、なんら間違っていないといえます。
ただし、もう一つ重要なことがあります。それは、「人としてどれだけ信頼できても、その人から買うものがなければ何も買いようがない」という事実です。もっと正確に言えば、「商品を持たない人からは、労働力を買う以外にない」ということです。
早い話、ビジネス的に言えば、どれだけ優れた営業マンを雇っていても、何の商品も持たせなければ、一円の売上すら上げられない…ということです。
よく、その会社の何かしらお手伝いをしながら徐々に信用や信頼を勝ち得て…と、営業を教える先生方は教えていたりしますが、その大前提は、「その後に売るモノが必ず存在している」ということです。
そう、自動車にしろ保険にしろ、ビジネスのサービスにしろ住宅にしろ、ペットや掃除機、飲食、旅行…などなど、カタチはどうあれ、買ってもらう商品やサービスがあってこそ、売上を作り出すことができるのですが、もしこれがあやふやな商品・サービスしかなければどうなるか…。
まともに購入できる商品やサービスがないとき、ビジネスにおいて何が起きるかと言えば、「労働力を買う」という、実にシンプルなことが起きます。簡単な話、「君、気に入ったよ、ウチで働かない?」は、元気な社長の口ぐせみたいなものですが、実に原理原則に沿ったフレーズとも言えます。
お勤めを続けていたり、転職を考えているならこれも実に嬉しい話ですが、独立して自分でビジネス展開をしている人であれば、「ウチで働かない?」は、ある意味、バカにされていると思うべきでしょう。「君からは買うものはない」といわれているようなものだからです。
「労働力の提供」とは、本人がどう捉えているかはともかく、経営的な観点から考えれば、あきらかに「ビジネス対ビジネス」の話になっていない…と言わざるを得ない訳です。
翻って、コンサルタントという仕事をする…というとき、それを肩書き程度にしか考えず、何か教える仕事…くらいに考えているとすれば、いつまでたっても「商売」や「ビジネス」というものになることはありません。
そう、自分の会社が行うコンサルティングというものに対して、明確に商品化したものを持ち、それを売るということができない限り、「コンサルティングと称した単なる労独力の提供」を続けることになってしまう、ということです。
優れた販売力は、及第点以上の商品を持ってこそ、その能力を発揮することができます。営業に特化した会社が世に数多く存在しますが、必ずと言っていいほど、優れた商品を仕入れて売っています。その彼らが、もし一つも売る商品を持ち合わせていなければ、労働力を売るしかなくなります。
一方、優れた商品があれば、弱い販売力でも売ることができます。もちろん、販売力ゼロではどうにも…ですが、強力な販売力を持たずしても売れていくことは現実によく起きていることです。
ビジネスで考えるとき、まず、このどちらに注力すべきか…は、極めて重要なことです。片方が、ゼロや、限りなくゼロではどうにもならないからです。
あなたは自分だけの商品を持っていますか? それは本質的には労働力の提供になっていませんか?
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