がんばれコンサルタント！ 第560話：コンサルタントが必ず押さえるべき「場」の重要性

「ゴトウさん、先日クライアント先の社長さんから、”去年と比べて格段に物事が進むようになった"と喜ばれまして…」── 当社の事務所にご相談にお越しなられた、親しいコンサルタント仲間の方のお言葉です。

なんでも、かなり大掛かりな新事業でも、以前とは比べ物にならないほど速いスピードで進んでいく…ということで社長さんは大喜びされている…という話。

なぜ急にスピードアップ？ ということですが、当然理由があります。それは、いわゆる「場」を先につくったから。もう少し分かりやすく言えば、「土台となるもの」「ベース」などといった基礎となる部分が先にあるかどうか…ということです。

近所の小さな山を登るのならいざ知らず、エベレストに代表される極めて高い山の登頂を考えるとき、よく「ベースキャンプ」なる言葉がでてきますが、これがなければ頂上目指してのアタックを、山の麓から一発であがっていくことを考えなくてはならなくなります。

足がかりになるところがない状態でやろうとすれば、当然、難易度は格段にあがりますし、なにより修正や再アタックといった「何か起きたときの対処や選択」も取りづらい、というよりほぼ不可能になってしまいます。その結果、失敗となるわけです。

ビジネスにおいて、このベースキャンプ的なものは、非常に重要です。何か思いつきや近くの山を登るのとレベルが違うのです。近くの山登りやハイキングなら、「持ち物の確認」程度でこと足りるかもしれませんが、険しい山の登頂となれば、まさに「ベース」がなければ実現不可能となります。

あまり意識されていなかったりしますが、チームができたり、発表の場ができたり、仮でも店ができたり、顧客接点ができたり、新部署ができたり…といった様々な「場」「ベース」があることは非常に重要であり、それがあることで物事が進むようになります。

そもそも論でいえば、会社そのものは極めて重要な「場」です。そこで働いている人たちは会社の様々な機能をそれほど意識することなく、もっと言えば「会社を支えているのは、この自分でしょ？」くらいに勘違いしている人もいたりします。

こうした人たちが独立し、会社という「場」がなくなると、驚くほど無力なることも珍しくありません。看板も商品も会社という形もなくなるからです。「場」をつくることに気づかなければ、さながらベースキャンプ無しで登頂するような愚行を繰り返してしまうことになります。

どれだけ腕がいい料理人でも、お店もなければメニューもない状態で、「いつかやりたい…」とひたすら悩んでいいても、何も進まず時間だけが過ぎるということが起きるのと同じです。

本当に繁盛するお店、多くの人に食べてもらって喜ばれたいのであれば、さっさとお店やメニューという「場」、「ベース」をつくって、そこを起点に立ち上げて修正して…とやったほうが、断然成功に近づくことは間違いありません。

コンサルタント業においても同様です。例えば、何かを発信したいと思っても、ウェブサイトがなければ「発信する場」がなく、悶々と過ごすだけになってしまいます。

メール配信の仕組みがなければ、せっかく書いたコラムも通知することができません。これらが先にあることで、日常的にコラムを書いて発信していくことが「簡単にできる」ようになる訳です。

セミナー一つでも、それをやる場所や案内などを発信する方法…といった場やベースとなるものがなければ、「いつかやろう…」というところでやたらと時間を消耗し、４月になったら、いや６月になったら…と言っている内に、年末を迎えるといった悲しい現実に直面することになります。

物事がなかなか進まない大きな原因の一つに、この「場」ができていないから…というのは、本当によくあることで、コンサルタントが自分の商品、すなわちコンサルティングメニューをつくらずに悶々していたりするのは、この「場」の理屈をまともに理解できていないのが大きな原因だったりします。

一方で、場、ベースを先につくると、物事は驚くほどスピードアップして進むようになります。「やってみて修正すればいい」が、実にたやすくできるようになるからです。山頂目指して再アタックができるのと同じです。

当社が、コンサルティングとは「クライアント先への仕組みづくり」だとこだわるのは、まさにこの点です。仕組みとしての「場」がなければ、またゼロにすぐ戻ってしまいますし、一度できあがった「場」は、トライアンドエラーで修正していきやすく、加速してどんどん良くしていくことができるからです。

あなたは目的遂行、夢の実現のために、「場」「ベース」の重要性を理解していますか？
「場」「ベース」づくりに着手していっていますか？