がんばれコンサルタント！ 第635号：コンサルタントが知っておくべき、「属して真似る」ときの重要ポイント

「五藤さん、やっぱり単にマネをしていてもダメというか、むしろ危ないってことが今はよく分かりましたよ…」──２年ほど前、「もっと売れるコンサルタントになりたい…」と、当社の門を叩かれた方と、先日ある案件の話ついでに一杯やっていたときのお言葉です。

当社にお越しになる以前、上手くいく方法を探し求める中で、「まずはカタチから入れ」といった言葉をどこかで耳にしたそうで、売れているコンサルタント、成功しているコンサルタントのマネをしていた…というのです。

そうした人達がどんな場所に出入りしているのか、どんな持ち物を持っているのか、どんな服装をしているのか、どんなツールを使っているのか、SNSではどんな発信をしているのか… さまざまな情報を調べて、それを片っ端から真似てみたというのです。

社長が集まる会合があれば、高額な参加費を払ってでも参加し、慣れないゴルフや会食にも挑戦したそうです。高級ブランドのスーツや時計を買い揃え、彼らが愛用していると噂のツールを導入し、彼らのSNS投稿を参考にしながら、自分も同じように発信して…。まるで、彼らの成功をそっくりそのまま自分のものにできるかのように。

しかし、当たり前？ かもしれませんが、現実はそう甘くはなかったとのこと。努力は報われず、コンサルタントとしての成果は一向に上がらず、それどころか、自分の価値を見失い、自信を失いかけるという、悪夢のような状況に陥ってしまったというのです。

このことは、多くの起業する人や、これからコンサルタントを目指そうとする人たちにとって、極めて重要な示唆を与えてくれていると言えるでしょう。それは、端的に言えば、「成功者と同じ行動をすれば、自分も成功できるという幻想」です。

それはまるで、高級車に乗り、ブランド物のスーツに身を包み、一流ホテルに宿泊すれば、あなたも成功者への階段を駆け上がれる…そんなつい耳を傾けてしまいそうな甘い囁きです。しかしそれらは、残念ながら蜃気楼がごとく消え去ってしまうのが現実です。

理由は単純です。行動そのものではなく、思考の結果の行動こそが重要だからです。経営者や一流コンサルタントがはじき出す答え、それと同じく思考できるようになるのがポイントなのであって、結果の行動だけ真似をしても、なんら意味がないからです。

モノを買って、美味しいものを食べて良いところに寝泊まりすれば成功する…というのなら、言葉は悪いですが「サルに物を買い与えて美味しいバナナを食べさせて…でも成功する…」という馬鹿げた話を信じるのと同じくらい可笑しな話です。

あなたがもし、コンサルタントとして「本物の成功」を手に入れたいと願うなら、「活躍するコンサルタントの思考回路」を、あなた自身の中に組み上げることこそ重要なのです。それは、あなたの脳内に「成功へと導く思考エンジン」を埋め込むようなものです。

では、一体どうすれば、そんな思考エンジンを手に入れることができるのか…。それには、「自分独自のコンサルティングの体系化」が、極めて重要となってきます。自分のビジネスの根幹を、自分の頭で考えられるようになることが、絶対的に必要だからです。

大切なことは、「物事には原因があって結果がある」という点です。同じく「思考があって行動がある」のです。

よく、「まずは行動してから…」という話を耳にすることがありますが、それは「初歩の話」や「どうでもいいレベルの時」ということを理解すべきでしょう。高度なビジネスの話や、それこそ高みを目指すという段階において、このような思考を伴わない、神経反射的な行動をしていたら、一生どうでもいいレベルで右往左往する羽目になるだけです。

どこかに属してみる、話を聞いてみる…ということは、非常に大切なことに違いありません。しかし、単に行動だけ真似をしたところで結果が変わると思っているなら、それこそ語弊を恐れずに申し上げれば、サル並みだと言わざるをえないのです。

さらに言えば、属したところがビジネスで上手くいっている人たちであった場合、彼らの思考を知ったり同様の思考できるようになるには、そもそもの核となる部分が必要になります。すなわち自分のビジネスの核です。

何も自分のビジネスというものを持たないサラリーマンが、自分のビジネスについて考えて行動する起業家の行動を見たり真似たところで、ビジネスについての思考はどうにもできないのと同じです。この核となるものがコンサルタントの場合、自分独自のコンサルティングの体系化なのです。

あなたは、自分自身のコンサルタント商売の「思考」を、しっかりと手にしていますか？