がんばれコンサルタント！ 第643号：コンサルタントが自己決定力を必ず鍛えなくてはならない理由

「ゴトウさん、あの人って大丈夫でしょうか…、最近なんだか変な感じなんですが…」── 先日、親しいコンサルタント仲間とワイワイ楽しく一杯やっていたときに、お仲間からでてきたお言葉です。 

なんでも、仕事仲間の知人が最近、どうも変ということで、まず、連絡をしても、とにかく返信が異様に遅く、反応もすこぶる鈍い。 自分から連絡してきて頼み事をしてきたかと思えば、途中ですっぽかしたり…と。

周囲でも迷惑を被った人がでてきて、さすがに「あの人どうしたの？」って話題になりはじめて…。

なるほど、これはいわゆる「あっちにいっちゃった…」という話かもしれません。 要するに、心ここにあらず、の状態で正気が戻ってくるまでどうしようもない、まるで人が変わってしまったというか、幽体離脱でもしているかのような状態といったほうが分かりやすいかもしれません。

このような状態に陥る理由は様々ですが、原因の一つに、「何かにつまづいてしまったときに、思考がだんだん真っ白になっていく」ということがあったりします。

誰でも、プレッシャーやストレスに押しつぶされそうになったり、大きな失敗をして自信を失ったり、あるいは、将来への不安に苛まれたり…というような経験があると思います。

問題は、そうした困難に直面したとき、冷静さをどこまで保てるか…という話です。自分は大丈夫と思っていても、自分でも気づかぬうちに半ばパニック状態に陥っていて、正常な判断ができなくなってしまうことが、現実に起こりうるからです。

どうすればパニックに陥らないで済むか…。ちなみに自衛隊では、「図上演習」なる訓練法があります。ご関係のある元海上自衛隊の海将補の方に教えていただいたのですが、この図上演習は極めて重要な役割がある…というのです。

表面だけみていれば単なる思考ゲームのようにも見えるのですが、追い詰められたギリギリの極限状態になっても、その状況下で最善の手を打つための脳みそや思考力のための訓練と言えます。

戦時下では、想定外の状況というのも残念ながら起きかねません。しかし、「想定外だから仕方がない」では済まされません。それでもなんとかしなくてはならない…というのが現実であり、そのために日ごろから訓練をされている訳です。

我々コンサルタントも日頃からある程度訓練していないと、常に良い状況下の航海ではないため、一度状況が悪くなると、訓練していないと「頭が真っ白」ということになりかねません。

実際そうした例はたくさんあります。 コンサルタントは、クライアントのビジネスを成功に導くという、非常に重要な役割を担っています。 クライアントの未来を左右するような重大な決断を迫られることも少なくありません。 だからこそ、どんな状況下でも冷静さを失わず、的確な判断を下せるように、自己決定力を鍛えておく必要があるのです。

頭が真っ白になってしまうと、要はまともな思考ができなくなるため致命的な問題を起こします。それが「何かにすがる」ということです。

天体や占いなどをはじめ、酷いときには洗脳みたいなことにさえ簡単にはまってしまいます。 怖いのは、「自分ではそれに気づけない」ことが大半という点です。

本来、コンサルタントはクライアントに「決断」を促すのが仕事であり、自分のことを他の物や誰かに判断や決定してもらわなければ動けないとしたら、まさに本末転倒というより、もはや存在価値がないと言わざるを得ません。

コンサルタントである前に、一人の人間として、自分の人生を自ら決めることすらできない状況…となればどうなるか…。

重要なことは、日頃から自己決定力を積み重ね、決定する力を研ぎ澄ませていかなければ必ず弱まってしまうということです。 小さなことでも良いので、自ら決断し、そして行動することです。

たかが今日の服装、たかがランチのメニュー、たかが仕事の進め方、たかが休日の過ごし方…。 どんな些細なことでも、自分で決めて、実行することで、自己決定力は少しずつ鍛えられていきます。

大切なことは、常に「自分の頭で考える」ことを意識しているか…。自分以外の何かに判断をゆだねていないか？ 相談と言って判断をゆだねていないか？  情報に振り回されることなく、自分の価値観や信念に基づいて、何が正しいのか、どうすればいいのかを、自ら判断する力を養うことが何よりも重要です。

本年も残り２カ月を切りました。今年やるべきことはやれましたか。来年やるべきことはみずから決めましたか？

あなたは自己決定力を日々鍛えていますか？