がんばれコンサルタント! 第647号:コンサルタント起業で、本当に歳を取ってしまう前にやっておくべきこと

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「ゴトウさん、もう少しで定年退職になるんですが、コンサルタントとして独立しようと思っていまして何を準備しておけばいいですか?」──先日オンデマンドセミナーご利用いただいた方から、その後のオンライン相談でご質問いただいた中の一つです。

独立をお考えになるタイミングには、いくつか特徴的なものがあります。よく耳にするのは、「やりたいことの準備が整い、機も熟してきたから…」という、いわば理想的なシナリオです。

ただし、このようなパターンで独立する人もいるかもしれませんが、現実的には少し違う場合が多いかもしれません。もっと泥臭く、苦しい現実に直面したときに行動を起こす方が少なくないのです。

現状に不満があって…というケースも少なくありません。待遇面に納得がいかず…というケースや収入面から背に腹変えられず…という場合もあります。

また、自分の人生を見つめて…という場合もあります。代表的な例の一つが、「死を意識したとき」です。この表現を聞いてドキッとする方もいるかもしれませんが、これをきっかけに我が身を振り返り、独立を決意したという話は、実はとても多いのです。

自身の病気もさることながら、知人や身内が大きな怪我や病気をしたり、思いもよらない不幸が訪れたりした瞬間、人は否応なく「人生の有限性」を強烈に意識させられることになります。そのとき、普段何気なく過ごしている毎日の価値に、はっきりと気付かされるのです。

「普通の日常」とは、実は極めて貴重な時間であり、何もせずにのんびりと過ごしてしまったときの後悔する未来は容易に想像できる……。この感覚に恐怖を覚えた方も少なくないでしょう。

重要なことは、こうした気付きがただの感傷に終わるかどうか…。「そんな後悔する未来は嫌だ」、「変えたい」、「このままではいけない」…と思ったとしたとき、それを避ける行動を取れるかどうか…というのが現実の話です。

かくいう当社も、まさにこのパターンからスタートしました。人生の有限性を肌で感じたことで、「やらなかった後悔」よりも、「失敗したとしても挑戦したい」と考えたことで、当社が誕生することになったのです。

ちなみに、こうした状況は等しく誰にでも訪れるわけではありません。そもそも、同じ状況下にあっても、どう感じるか、どう考えるかは人によって様々で、その時の年齢や体力、熟練度、思考、感受性…などによっても大きく変わってくるでしょう。

一方で、もう一つよくある独立のきっかけがあります。外部要因とも言えるものですが、「門が閉まる感覚」のニュアンスであり、定年退職などがその典型例です。

何かしらの環境的な要因によって、現在の状況を続けることが不可能になるとき、人は新しいステージに目を向けざるを得なくなります。「いつかやろう」と漠然と思っていたことが、目の前に期限を突き付けられることで、ようやく現実の課題として浮かび上がってくるのです。

元来、人間というものは、そう簡単に行動を起こせる生き物ではなかったりします。明確なきっかけや強い背中押しが必要なのです。そういう意味では、定年退職という出来事は、決して悪いものではなく、新たな挑戦を後押ししてくれる絶好の機会という見方もあるでしょう。

ここで一つ重要なことがあります。独立を本気で考えるとき、特に重視しなければならないのは、「年齢による変化と残された時間」です。

経験や知見、判断力といった、歳を重ねることでプラスに働くものは多々あります。これらは間違いなく大きな強みとなります。しかし一方で、歳を重ねることでマイナスになっていくものも存在します。その最たるものが「気力の低下」です。

当たり前のことように聞こえるかもしれませんが、歳を重ねる…という言葉を「老人」や「残された時間」といった言葉に置き換えるとき、定年退職などをまともに考えたこともない人には想像もできない現実が起きてくるのが、この「気力の低下」なのです。

若い頃ならヤル気と根性で乗り越えられたことが、年齢とともに思い通りにいかなくなる。というか、そもそもやる気が減ってきている、やる気が沸いてこない…?ということが起きてくるのです。

もちろん、ビジネスにおいては、気力や根気だけで成功をつかめるほど単純なものではありませんが、最重要とも言える「売れる商品」と「売るための導線」をつくるためにも、集中した努力なくして土台ができあがることはありません。

語弊を恐れずに申し上げれば、販売導線は、実際にビジネスをスタートして、進めていく中で初めて機能するものであり、言ってしまえば後からつくるしかない仕組みと言えます。実際のクライアントも売上も存在しない状態では、導線も何もつくりようがないからです。

しかし、商品づくりはその前段階から着手することができます。若い内ならヨーイドンで寝る間も惜しんで商品も販売導線も一気につくり上げる気力も体力もあり、進めていくことができるかもしれませんが、歳を重ねているとこのスピードに大きな差がついてしまうのが現実なのです。

逆に言えば、商品が整っていても、販売導線づくりをする前に気力が落ちてくるようでは手遅れとも言えます。販売の導線づくりこそ、エネルギーを強烈に要するとともに、ビジネスを長く行っていくために不可欠の土台になるからです。

一つ言えることは、この気力の低下が、人によって差があるということです。自分は果たしてどうなのか? ここは充分考える必要があるでしょう。例えば、定年退職というタイミングに対しても、退職金をもらって安心できる…とか、そういった感覚の場合は、ちょっと気を引き締めておく必要があるかもしれません。

簡単な話、気力がまだ充分にあるうちに、ビジネスの基盤を固めておく必要があります。このタイミングを逃さないことは、ある一定以上の年齢の人にとって、歳を重ねていきながらビジネス展開を軌道に乗せていくための重要ポイントと言えるでしょう。それがビジネスを楽しみ、報われる報酬を手にしながら長く思い通りに商売を続ける秘訣とも言えます。

あなたは、ビジネスの土台をしっかりつくることを考えていますか?どんなに優れたアイデアやスキルがあっても、それを売れる商品の形にし、それが売れていく仕組みをつくることができなければ、報われる報酬にはつながりません。本当に歳を取ってしまう前に、その基盤を築くことが、何よりも重要な課題なのです。

著:五藤万晶

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