がんばれコンサルタント！ 第660号：コンサルタントとして立つとき、前職を活かせる人、活かせない人の違い

「ゴトウさん、あの人って昔なにをしていた人なんですか？」── コンサルタント仲間と集いながら、活躍している仲間のコンサルタントのことについてアレコレ楽しく話をしていた時にでてきた言葉です。

この言葉、実に興味深いものです。なぜなら、独立したコンサルタントにとって、他のコンサルタントがどのようにして成功を収めているかは、やはり気になるからで、その気持ちがシンプルに出た言葉だからです。

特に、自分独自のコンサルティングを確立し、他にはないユニークな発想、独特のスタイル…などで活躍していれば、やはり経歴などが気になっても不思議ではないでしょう。

「この人は、一体どんな仕事をしてきたのか？」「どのような経験がコンサルティングにつながっているのか？」…などなど。

一方で、昨日までまったく異なる仕事をしていた人が、今日になって突然「私は〇〇の専門家です」と言い出したらどう思うでしょうか？

何も気にしないという人もいるかもしれません。しかし大多数の方は、「この人、本当に大丈夫なのか？」と首を傾げるでしょうし、「いいかげんなヤツだな…」と思うに違いありません。

今まで営業のえの字もしたことがない人とか、営業で全然成果をだしていない人が、突然「営業を教える」と言い出したら、もはや笑いネタ？ と周囲から嘲笑の対象となっているかもしれません。気づいていないのはもはや本人だけ。笑うに笑えない現実です。

これは何も特別な話をしている訳ではありません。なぜなら、「クライアントも同じことを考える」からです。当たり前です、自分たちが思うようなことは、お客様側の人もすべてそう思って当然だからです。

突然名乗った肩書きや専門性に対して、裏付けとなる実績や根拠が見えなければ、疑われてしまうのは当然です。だからこそ、これまでにやってきたことや前職とのつながりを明確に説明する必要があるのです。

もしこのつながりがなければどうなるか、答えは単純です。「過去を捏造する」か「過去をひた隠しにする」かのどちらかを選ぶことになります​。

そして、一度でもこの道を選んでしまえば、嘘に嘘を重ねるか、ひたすら過去を隠し続けるしかなくなります。

では、お客さん側の経営者の方々は、どうするのでしょうか？ 答えは明白です。「先生、昔は何をやっていたんですか？」と、ストレートに尋ねてきたりします。そう、自分たちが仲間のコンサルタントに対して思って口にした、そのとおりに…。

もちろん社長さんによっては、直接聞くのではなく、ウェブサイトを細かくチェックしたり、セミナーや本をチェックして…というケースもありますが、一番多いのは「あの人、昔なにやっていたのか、知ってますか？」と周囲の人などに訊いて確認したりします。

このとき、過去の実績や仕事内容と現在の専門性が自然につながっているとしたら、社長さんは納得するでしょう。説得力のある「ストーリー」を確認したからです。その一方、過去とのつながりに「ニゴリがある」とか、何のつながりもなく、ほとんどハッタリ的に「〇〇専門」と言っていることがバレたらどうなるか…。

当社は、「あなたが積み重ねてきたものには、１億円の価値があるかもしれない」と常々申し上げています。これは決して大げさな話ではありません。実際、コンサルタント業界において長く成功し続ける人たちは、例外なく「自ら積み重ねてきたものを強みに変えて」活躍しています。

重要なことは、習ったことや資格を元に仕事をしようとするとき、「そこからがスタート」になり、過去を活かすことが難しくなるという点です。

一方、自分がこれまで積み上げてきた知識や経験、ノウハウ…などを活かし、それを強みに変えていくことができるなら、それは最初から大きなアドバンテージとなることは、誰にも分かる話でしょう。

成功するコンサルタントとは、浮かれたテーマに飛び乗って実績も無いのに教えようとする人などでは決してなく、「これまでの人生経験を最大限に活かして、自分独自のコンサルティングを創り出した人」なのです​。

あなたは、これまでの自分の過去を活かしていますか？