がんばれコンサルタント! 第114話:コンサルタントとして開花しない人の共通点

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第114話:コンサルタントとして開花しない人の共通点

20140722H

 

 「結構費用がかかるんですね、まずは自分でやってみます」── 先般ご相談にお越しになられたコンサルタント起業された方の言葉です。

 販促ツール作成のために業者さんをご紹介したのですが、予算的に厳しい…という悩ましいご判断によるものです。

 こういう悩ましい判断というのは本当に多いものです。特に起業したての頃は何かとお金がかかるもの…とは、よく言ったもので、何をするにも「お金に羽が生えている」かのごとく、どんどん消えていきがちです。

 準備していたお金が、まるでカンナで削り取られるように減っていく訳ですから、心中穏やかでないのはある意味当然です。出費を抑えようと、さまざまな対策を講じて、窮地をしのいでいくしかありません。

 ただし、こうした窮地をしのいでいく中でも、絶対に忘れてはならないことがあります。それは、「経営とは投資活動」という点です。

 あまりにも当たり前のことなのですが、人は誰でも恐怖の前では「防衛」が優先されてしまうため、本当に注意が必要です。

 「お金があれば投資だって何だってできるよ」という人もいますが、人間の本能を理解していないと、自分の行動もさることながら、クライアント先にもまともな指導ができない可能性が大となってしまいます。

 例えば、お金があれば…といって、1億円あれば、この人は安心して投資したり使ったりするでしょうか? ということです。理屈から言えばそのとおりのはずですが、世の中そうならないところが人間の面白さです。

 1億円あったとしても、毎月確実に100万円ずつ減っていくとしたらどうでしょうか? 年間にして1200万円。減っていくとはいっても、それでも8年分以上あるのですが、大半の人がお金を使えなくなってしまいます。「怖くて使えない」のです。

 一方で、今使えるお金は100万円しかない。しかし毎月10万円だけは入ってくるし、来年は確実にもう少し増えるし、再来年はもっと増える…としたら、どうでしょうか?

 金額で言えば圧倒的に少ないにも関わらず、この手元の100万円を全部使ってしまうことだって厭わない人も出てくるでしょう。

 もちろん、無駄にお金を使ったり、無理して使いましょう…などと言うつもりは毛頭ありません。大事なことは、自分の心理状態がどう環境によって影響を受けているか…という点なのです。

 コンサルタントとは、コンサルタント業の経営者です。そして指導先は企業や経営者ということが大半です。

 つまり我々は、たとえ一人であっても、コンサルタント業という事業を展開し、自分の専門ノウハウを通じて多くの企業を豊かにする仕事をする訳です。

 企業がもし、恐怖に取り付かれて節約しかしない状態になればどうなるか…。人件費もかかりますし、社屋や設備、商品在庫に様々な諸経費は黙っていても出て行くわけで、固定費は想像以上に膨大です。

 まさに湯水のごとくお金が消えていくのが企業体というものです。「事業活動にとって動かないこととは、死を意味する」ということです。

 コストカットと節約でどうにかなるのか…といえば、「風呂桶の穴をふさぐ」ことは重要であり、「豪華な食事や無駄な装飾」は不要であっても、「節約をどれだけ行っても経営が豊かになることは絶対にない」ということです。

 こうしたことを冷静に考えれば、「お金を回して大きくしていく」ことができなければ経営はゆきづまることは明白です。突き詰めれば「経営とは投資」と言っても過言ではないのです。

 サラリーマンの場合、手元のお金を増やすには、「節約」と「貯蓄」が非常に重要になります。給料を決めているのは会社であり、意図的に仕掛けて収入を増やすことが難しいからです。入ってくるものがコントロール外であれば、入ってきたものをコントロールするしかありません。

 一方で、事業経営とは、むしろ出て行くものばかりです。特に起業時はゼロからのスタートですからすべてお金がかかります。じっとしていても確実にお金は出て行きますし、そもそも何もしなければ、売れることは一生ありません。

 このとき、恐怖にかられたり、これまでのサラリーマン思考で考えてしまうと、ついつい「節約志向」で物事を考えてしまう罠に落ちてしまいます。

 この問題は、自分自身に降りかかって来ることと、クライアント指導をする場合においても、自分が恐怖を克服できていなければ、経営決断を伴う投資など、とてもではありませんが説得できない…という問題が起きてきます。

 再度申し上げますが、経営とは投資です。儲かる道筋を探し出して、1のお金を2とか3にして、それを5に10に、そして100にしていく活動です。

 コンサルタント自身が、営業活動や販促、そして品質をあげる…といったことに対して、恐怖心を克服し、質の高いプロを選んで投資していくという「投資思考」をみずから実践できなければ、その匂いを敏感に感じ取る「経営者」から、選ばれることはありません。

 あなたは、積極的な投資思考を実践できていますか?

 

著:五藤万晶

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