がんばれコンサルタント! 第62話:コンサルタントに必要な我慢強さ

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第62話:コンサルタントに必要な我慢強さ

 

がんばれコンサルタント! 今週の提言 第62話:コンサルタントに必要な我慢強さ 「見てないようで見ているのが顧客。見ているようで見ていないのが身内」

 「五藤さん、コンサルタントを長く続けるにあたって、やってはいけないこととか、注意すべきことは何ですか?」── 先日ある若手コンサルタントの方から尋ねられた質問です。

 コンサルタント業を長く行っていくにあたって、やってはいけないことは結構たくさんありますが、中でもとても恐いものを一つ挙げれば、それは「ブレる」ことです。

 あれもこれもと手を出して、本業が良く分からなくなるような「ブレ」は、当然ながら他の商売でも良いことではありませんが、ことコンサルタント業においてはこれはほぼ致命的になります。

 小売店や飲食店、メーカー、卸、量販店…では、社員の人も抱えているだけに、多少ブレるとしても、社員の力を引き出したり追加要員を配置することで、軌道に乗せていくことは可能でしょう。

 しかし、一匹狼のコンサルタントの場合、ただでさえ経営資源に乏しいのが現実です。自分の強みとなるコンサルティング以外のところに手をだすということは、本業の力を削ぐことを意味します。強みがより引き立つようにすべきところを、逆に分散させる「ブレ」は、極めて危険な行為と言わざるを得ません。

 長年、多くの講師やコンサルタントの方を見てきましたが、ブレる人は決まっています。「売れなくて、手当たり次第にテーマをコロコロ変える人」か、または「売れて傲慢になって、自分はこれも、あれも、出来る! と次々にテーマを増やしていく人」です。

 後者は売れてからの話なのでともかくとして、前者は、いわゆる初心者にありがちなミスで、当たりを探そうとして焦り、次々に色々な事に手を出してしまい、どれもいまいち売れない状態に陥ってしまう…というものです。

 コンサルタントを始めて、自分の強みや特徴を磨き、それが知れ渡って売れていくようになるには、時間も努力も我慢強い積み重ねが必須です。一つずつ目的に向かって確実に組み上げていって大きな自分の城を築いていくのと同じです。その努力は堅牢な石垣となり確実な領域をつくり出し、他者の付け入る隙を与えないものとなります。

 この努力を、見ていないようで見ているのが顧客です。あなたが石垣を一つ一つ、きっちり積んでいくのを見てないようで見ています。もしここで、「誰も見てないから、適当にハリボテで済まそう…」と手を抜いたり、全然違う所に小屋を建て始めたりしたら、そのブレを顧客は見逃しません。

 本来、こうしたブレが起きないように、もし起きたら注意してもらえるようにしたいところですが、残念ながらこの方法は滅多にうまくいきません。なぜなら、よく見ているようで見ていないのが身内だからです。

 個人コンサルタントの場合、社員や同僚というものがいませんし、居ても秘書くらいまでが大半。同業もライバルであったりして、自分を注意してくれる存在がほとんどいません。聞ける相手は家族だけ…という人も少なくありません。

 こうした場合、接している時間は長いに関わらず、顧客のような厳しい視点で意見を言うことは極めて稀です。そもそも仕事の内容をよく理解しておらず、意見がトンチンカンだったりします。こうしたことを察して、客観的なアドバイスを聞きたいと弊社に来られる方もとても多いです。

 「売上をあげなければしょうがないでしょう!」の奥さんの一言で、お金になりそうなものならなんでもスグに手をだすようになってすっかりブレてしまい、ひどい状況になってしまった例もあります。奥さん批判のつもりはありませんが、身内はとかく注意が必要です。

 大事なことは、客観的な判断を元にしながら、自分の強みを信じて“コンサルティングの城”をコツコツ築いていくことです。このことが、結果的に最も速く売れていくことにつながります。我慢強さは一流コンサルタントになる必須の条件なのです。

 先日も、弊社にコンサルティングにこられた方が、「五藤さんのコラムや活動をしばらくじっと見ていました。ブレるようだったら受けるのをやめようと思ってました」と話され、ちょっとドキッとしましたが、同じように顧客は、あなたの言動を、見ていないようで見ているということを忘れないでください。

著:五藤万晶

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